2023年4月25日(火)
アベノマスク3億1800万枚
単価、1枚150円も
上脇神戸学院大教授が国の資料公表
新型コロナウイルス対策で安倍晋三政権が全世帯と介護施設などに配った布マスク「アベノマスク」について、国に情報開示を求める裁判で勝訴した神戸学院大学の上脇博之教授が24日、厚生労働省と文部科学省が開示した調達業者ごとの単価や発注枚数を明らかにしました。
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安倍政権は新型コロナウイルスが急拡大した2020年3月から6月にかけ、17社と計32件の契約を結びました。同日の記者会見で上脇教授が公表した会計検査院の決算検査報告(20年度)によると、政府はアベノマスクを3カ月間に約3億1800万枚発注し、約543億5000万円支出していました。
全ての契約が競争入札ではなく随意契約で決まりました。1枚あたりの調達単価(税抜き)も最低62・6円から最高150円まで約2・4倍の差がありました。
医薬品メーカー「興和」とは単価300円で契約したのち、135円に変更していました。変更理由を記した文書は残っておらず、当初に不適正な契約が結ばれた疑いがあります。
主な発注先は、興和、伊藤忠商事、マツオカコーポレーションの3社でした。
上脇教授は「政府が配布した布マスクを使用している人の割合は3・5%だった」とする民間の調査結果を示し、使用率で計算した1枚あたりの事業費は4881・3円、調達費は3975・5円だと指摘。「(使用率が)3・5%だと1120万枚を発注すれば十分だった」との見解を示しています。
上脇教授は「国は業者に足元を見られ、ほとんど“言い値”で契約していたのではないか」と述べています。
これまでに国は業者名や業者との契約額を明らかにする一方、単価や発注枚数は公表していませんでした。上脇教授の訴えに大阪地裁は2月28日、国が不開示としたのは不当だとする判決を下し、情報を開示するよう命令。国側は控訴せず、判決が確定しました。
アベノマスクをめぐっては、保管や再配布でも多額の国費が支出され、多くの国民から「税金の無駄づかい」と批判の声が上がりました。
上脇教授は「このような巨額の支出、しかも緊急調達として随意契約になっているものについて、国民が政策の是非や多額の税金の使途について検証ができるようにしておかなければならない」とし、業者選定や契約交渉の経過を記した文書の開示を求める訴訟も起こしています。