2023年4月27日(木)
安保3文書 山下議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の山下芳生議員の26日の参院本会議での「安保3文書」についての質問の要旨は次の通りです。
安保3文書は、戦後の安全保障政策を大転換し、敵基地攻撃能力の保有と国内総生産(GDP)2%への大軍拡にふみきり、歴代政権が掲げてきた専守防衛の建前さえかなぐり捨て、憲法9条を真っ向からふみにじるものです。
3文書はウクライナ侵略のような事態が東アジアでも「排除されない」として、「防衛力を抜本的に強化していく」と一足飛びに結論づけていますが、侵略に至った経緯と背景をどのように認識しているのでしょうか。
ヨーロッパではソ連崩壊後、ロシアを含むすべての国が参加する欧州安全保障協力機構=OSCEという包摂的な対話の枠組みが発展しましたが、NATO(北大西洋条約機構)諸国もロシアもその枠組みを生かさず相互に不信を高め、軍事対軍事の悪循環に陥りました。今回の事態の背景には、この悪循環に陥った外交の失敗があったのではないですか。最大の責任がロシアにあるのは当然ですが、なぜこのような事態に至ったのか冷静に検証すべきです。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、加盟国と日米中韓ロなど8カ国で構成する東アジアサミットを強化し、東アジア規模の友好協力条約を展望する「ASEANインド太平洋構想」=AOIPを推進しています。憲法9条を持つ日本こそASEANと協力し、包摂的な平和の枠組みを発展させ、東アジアを戦争の心配のない地域にする積極的外交を展開すべきです。
中国の東シナ海や南シナ海での力による現状変更の動きは断じて容認できませんが、中国は歴史や文化、経済でも欠かせない大切な隣国です。日中関係の改善は、東アジアの平和の枠組みを発展させるうえでも重要です。
2008年の日中共同声明は「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」と確認。尖閣諸島など東シナ海での緊張状態について、14年の合意では「対話と協議」を通じ問題を解決すると確認しています。AOIPにも日中両国政府が賛意を示しています。政府はこうした日中間の共通の土台を再確認し、平和と友好の関係を確かなものにする外交に本腰で取り組むべきです。
バイデン米政権は、中国を「唯一の競争相手」とし、同盟国を巻き込み、軍事、外交、経済の面で抑え込み、自らの覇権を維持・強化しようとしています。「民主主義対専制主義のたたかい」というスローガンのもと、特定の「価値観」で世界を二分しています。
3文書は「米国と共に、外交、防衛、経済等のあらゆる分野において、日米同盟を強化していく」としていますが、米国の中国包囲網づくりに全面的に協力するのではありませんか。こうしたブロック的対応は、地域の対立と分断を広げ、戦争の危険を高めるのではありませんか。
日本国憲法は国と国との争いごとを絶対に戦争にせず、外交努力で解決するよう求めています。憲法9条を生かし、東アジアに平和を構築する外交に取り組むよう強く求めます。