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2023年5月22日(月)

G7広島サミット閉幕

限界と矛盾いよいよ深刻

原爆碑前で核抑止論

「広島ビジョン」自賛 岸田首相会見

 被爆地・広島市で開かれた主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)が21日、閉幕しました。20日に発表された首脳声明(コミュニケ)を踏まえ、岸田文雄首相が議長国会見を行いました。最終日はウクライナのゼレンスキー大統領も参加。岸田首相やバイデン米大統領らと会談し、G7の「結束」を演出しました。一方、非政府組織(NGO)などで構成される市民社会の枠組み「C7」や被爆者らは同日の記者会見で失望を表明。「核抑止」に縛られるG7の限界や、世界の分断と対立を加速するとして、G7の存在自体が問われました。(関連記事)


 岸田文雄首相は21日、主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)閉幕に伴い、市内の平和記念公園で原爆碑を背景に会見し、「核抑止」を全面的に正当化し、核兵器は「防衛目的に役立つ」などとした19日の「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を、「核廃絶に焦点をあてた歴史的文書だ」などとねじまげて自賛しました。

 18日の日米首脳会談では核抑止の強化まで確認するなど、核廃絶に真っ向から逆行しながら、「(G7首脳で)核兵器のない世界へのコミットメントを改めて再確認した」と主張。人間を破壊しつくす核兵器を廃絶する、そのシンボルである原爆ドームと原爆碑の前で、核の使用を前提とする核抑止を盛り込む「広島ビジョン」を誇示するという被爆者や原爆犠牲者を冒涜(ぼうとく)する会見となりました。

 「日本政府の核抑止依存の姿勢は、被爆地広島が願う核廃絶への思いとは相いれないとの声がある」との記者からの質問に、首相はまともに答えず、「厳しい安全保障環境」を口実に、「核兵器のない世界という理想に現実を近づけていく」と述べ、核廃絶実現を先送りする姿勢を改めて示しました。

 首相は来日したウクライナのゼレンスキー大統領がG7サミットの議論に参加したことについて、「法の支配に基づく国際秩序を守るとのメッセージをより力強く国際社会に発信できた」と述べました。


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