2023年5月23日(火)
ウクライナに自衛隊車両100台 岸田首相表明
自公は殺傷兵器も視野に
主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)最終日の21日夕、岸田文雄首相は来日したウクライナのゼレンスキー大統領と広島市内の平和記念公園で会談しました。
この中で首相は、トラックなど100台規模の自衛隊車両や約3万食の非常用糧食を提供し、ウクライナ負傷兵を自衛隊中央病院に受け入れることを決定したと伝えました。
ウクライナへの自衛隊装備品提供をめぐっては、政府は昨年3月、武器輸出制度である「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定。「非殺傷」兵器の提供を可能にし、これまでに防弾チョッキやヘルメット、ドローンなどを提供してきました。
政府は従来、憲法9条に基づき武器輸出を全面的に禁止。とりわけ、「国際紛争を助長しない」との立場から、「紛争当事国」への輸出を戒めてきました。そうした原則とウクライナへの自衛隊装備品の提供は相いれません。
また、政府は、移転した装備品は「非殺傷」であることを強調していますが、従来の政府見解では、「自衛隊の用に供するもの」は基本的に、武器に該当するとしています。
さらに、自公両党は弾薬など「殺傷」兵器の提供を可能にするよう「移転三原則」運用指針の再改定を狙っています。ロシアによるウクライナ侵略を利用して、本格的な武器輸出への道を開く狙いは明らかです。
ゼレンスキー氏は会談後の記者会見で、F16戦闘機の供与などに触れ、さらに多くの武器提供を各国に求めていく考えを示しました。同時に、日本からの武器供与については「法的な制約は理解している」と指摘。日本への期待として、原爆投下による被害から復興した広島に言及し、「戦後復興のための技術」を求めています。