2023年7月2日(日)
徹底追及 統一協会
信者ら各議会に陳情
「関係断絶 決議するな」
統一協会(世界平和統一家庭連合)の信者らが5月下旬前後に、各地の市議会などに相次いで「陳情」「要望書」などの文書を送付・提出しています。全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)を非難し、各議会に「(統一協会との)関係断絶決議をしないよう」求めています。各地の個人名などで出されていますが、文面はほぼ同一。ある陳情者は取材に、統一協会からの要請で陳情したと証言しました。(統一協会取材班)
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これらの文書は一様に「全国霊感商法対策弁護士連絡会の不当な声明に対する陳情」などと題しています。
「不当な声明」とは、全国弁連が3月に公表した「政治家の皆様へ統一教会との関係断絶を求める声明」を指すとみられます。
これらの「陳情」や「要望書」は、統一協会による被害について「少なくとも現在は、正体を隠した違法な伝道活動や霊感商法をしておらず、家族被害や二世被害の具体的な根拠も示されていない」と主張します。
全国弁連を非難
全国弁連については「特定の政治的主張を持つ弁護士らの団体」などと主張。ある弁護士を名指しし、「(統一協会の)会員らを違法に拉致監禁し、強制改宗をした者たちと結託してきた」などと非難しています。
その上で、各議会に対し、全国弁連の声明の趣旨に基づく決議をした場合は「当該決議に対する取消訴訟及び国家賠償請求訴訟を行う可能性がある」と告げています。
名義は個人名だけのものや、「信教の自由・基本的人権を守る○○県民の会」(○○は県名)などの肩書が付いたものがあります。各地で、個別に陳情した体裁になっています。
「協会から依頼」
しかし、関西地方のある自治体に陳情した人物は本紙の取材に、自身が統一協会の現役信者だと認めた上で「教会から、『関係断絶を求める動きがあるから、居住地域の役所に陳情に行ってほしい』と言われた」と語りました。
文面についても「教会が書いてくれた。自分は法律などに疎いので。できた文面に目を通し、(役所に)持って行った」と説明しました。
東北地方の自治体に陳情した別の人物も、自身が統一協会関係者だと語りました。
自作自演の悪あがき
統一協会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイトさんの話
統一協会は過去にも、保守的な内容の条例の制定などを求めて各地の自治体に陳情する手法を使ってきました。組織的にやっていると思われます。
今回の陳情は、全国弁連の価値をおとしめることで「自分たちがいわれなき批判にさらされている」という印象を与えたいのでしょう。
各地の議会に対しては、「面倒くさい団体だから触らない方がいい、議決しない方がいい」と思わせたいのでしょう。
大した効果もない、自作自演の悪あがきだといえます。