2023年9月21日(木)
征服の論理止めよう
国連総会 ロシアに非難相次ぐ
一般討論始まる
【ニューヨーク=島田峰隆】ニューヨークで開催中の第78回国連総会で19日、193カ国の加盟国の首脳らが国内外の課題について意見表明する一般討論演説が始まりました。今年もロシアのウクライナ侵略について、各国の主権や領土保全の尊重などを定めた国連憲章や国際法に違反する行為だと非難する声が相次いでいます。
グテレス国連事務総長は、各国が国連憲章の義務を守らないと「世界は誰にとっても不安定になる」として「その証拠がロシアによるウクライナ侵略だ」と強調しました。
グテレス氏は「この戦争は国連憲章と国際法に違反している」とし、人命の喪失、人権侵害、子どものトラウマ被害など恐怖の連鎖を招いていると批判。「国連憲章と国際法に基づく公正な平和への努力を緩めてはならない」と訴えました。
国連総会のデニス・フランシス議長(トリニダード・トバゴ)は「国連加盟国であるウクライナの領土保全と主権への侵害が続いている」と述べました。核戦争の脅しが行われ、戦争の影響は生活必需品の不足や食料不安などの形で多くの国に影響していると指摘。「この戦争は国連と国連憲章への侮辱だ」と非難しました。
バイデン米大統領は、ロシアの行為は「違法な征服戦争」であり、「ロシアのみがこの戦争の責任を負っている」と指摘。「米国は主権と領土保全と自由を守るウクライナの人々を支持し続ける」と語りました。
今年は対面で出席したウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが食料、エネルギー、子どもを武器として利用していると批判。「戦争のない時代を保障するのは密室での“大国”間の対話ではなく、平和を求めるあらゆる国家の開かれた努力だ」と述べて、世界各国が結束してロシアに立ち向かうよう呼び掛けました。
ポーランドのドゥダ大統領は「ロシアの野蛮な侵略で国際秩序が試されている」と強調しました。「武力による国境の変更、法律の無視、ウクライナの人々の生存権の否定という征服の論理を止めねばならない」と語りました。