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2024年1月6日(土)

主張

核兵器のない世界

禁止条約が新時代切り開いた

 2023年は、ウクライナ侵略を続けるロシアが核の威嚇を繰り返し、ガザ攻撃を激化させるイスラエルの閣僚が核使用を「選択肢」と発言するなど世界は核兵器を巡り緊張を強いられました。一方、史上初めて核兵器を違法とした核兵器禁止条約が、逆流に抗する「希望の光」として輝きを増しています。24年は、「核兵器のない世界」へ向けてさらに前進する新たな決意と行動が求められます。

逆流の中で「希望の光」

 23年末、核兵器禁止条約の第2回締約国会議は「私たちは、現在および将来の世代のために、核兵器のない世界を実現するために不断に努力する」「(核兵器の)完全廃絶まで休むことはない」と表明する政治宣言を採択しました。確固たる決意の土台になっているのは、21年1月に発効した禁止条約が国際法としての実効性と規範力を強めてきていることです。

 23年9月にインドで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議は、22年に続き、「核兵器の使用又はその威嚇は許されない」(首脳宣言)と表明しました。この宣言をロシアもアメリカも受け入れ、採択されたことは重要です。インドネシア、ブラジル、南アフリカなど禁止条約を推進する国々が、大きな役割を果たしました。禁止条約と、条約を生み出した力が、核兵器使用の手を縛っています。

 ロシアのみならず他の核保有国も「核抑止」を口実に核戦力を維持・強化しています。それだけに危機感は高まり、23年は「核抑止」論への批判がかつてなく広がりました。広島と長崎の市長は平和式典で「核抑止」論からの脱却を強い口調で訴えました。広島の地元紙・中国新聞は「核抑止論にこれほど焦点が当たった原爆の日はかつてなかったのではないか」(8月7日付社説)と記しました。

 ロシア非難をしながら、「核抑止」に固執する米英仏などの欺瞞(ぎまん)的な態度には国連で批判が相次ぎました。第2回締約国会議は、25年の次回会議までに「核抑止」論からの脱却を訴える報告書を作成することを決め、新たな段階の取り組みを始めようとしています。禁止条約は「核抑止」論の克服でも大きな力を発揮しています。

 禁止条約の法的な規範力と、諸国の政府・市民社会の力が合わさり、核兵器廃絶を促進する新しい時代に入りつつあります。

 日本政府は22年に続き、第2回締約国会議へのオブザーバー参加すら拒否しました。アメリカの「核の傘」の下にある北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツやベルギーなどが参加したことと比べても、恥ずべき態度です。

被爆80年に向けて前進を

 日本政府は「核抑止」論の呪縛を断ち切り、一刻も早く禁止条約に参加すべきです。少なくとも禁止条約に基づく被爆者や核実験被害者への支援、環境修復などに協力することは、唯一の戦争被爆国としての責務です。

 24年3月は、原水爆禁止運動発展の契機となったアメリカのビキニ水爆実験の被災から70年です。被爆者が求める原爆被害への国家補償と合わせて、ビキニ被災の全容解明と補償が急がれます。

 25年は広島・長崎の被爆80年です。被爆者の悲願である「核なき世界」を一日も早く実現しましょう。日本共産党は内外の反核平和運動と連帯し、力を尽くします。


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