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2024年4月1日(月)

きょうの潮流

 穏やかな波がうちよせる海岸は恋人たちの聖地でした。悲恋伝説が語り継がれ、愛が成就するという幸せの鐘を鳴らすカップルの姿も絶えませんでした▼能登町にある恋路(こいじ)海岸。そこはいま崩れてきた巨石が転がる無残な光景に。海の様子を見にきていた地元の漁師は津波で船が流され、「先がまったく見えない状態」と嘆きます▼恋路海岸から珠洲市の見附島(みつけじま)まで続く海岸線は「えんむすびーち」と呼ばれます。しかし地域のよりどころとなってきた見附島は先の地震と津波で3分の1ほどに崩落。海岸線を沿う道路の両脇には倒壊した家々や傾いた電柱が連なっています▼年明けを襲った能登半島地震から3カ月。先週、被災地を訪ねましたが、いまだに復旧のめどさえ立たない所は多い。断水も珠洲市のほぼ全域で解消されず、輪島市や能登町でも水が出ない家が少なくありません。つぶれた建物や倒れた電柱、ガタガタの道が続き、まち全体が傾(かし)いでいるような錯覚さえおぼえます▼雪の中を歩いて仮設風呂に入りにきたお年寄りはこれが唯一の楽しみだといいます。珠洲市内の避難所で支援活動に携わってきた女性は「必要なのは住まいと生業(なりわい)。残念なのは、ずっと景色が変わらないこと」だと話します▼ふるさとに残るため地元のフィットネスクラブに就職したという輪島の青年は今後を憂いていました。もともと過疎が進んでいたのに、もっと人が減っていく。置き去りにしてきた地方をどう復興するのか。その展望を示してほしいと。


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