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2024年4月11日(木)

日米、指揮統制連携を強化

先制攻撃体制下に

共同声明 大軍拡を「歓迎」

兵器の共同生産・整備 促進

 【ワシントン=石黒みずほ】岸田文雄首相とバイデン米大統領は10日(日本時間11日未明)、米ワシントンのホワイトハウスで首脳会談を行います。会談後に公表する共同声明は、「米軍と自衛隊の相互運用性強化のため、指揮・統制の枠組みを向上」すると明記。米軍と自衛隊を統合し、日本が導入を決めた敵基地攻撃能力の共同運用などを進める狙いです。自衛隊が米軍の先制攻撃体制に組み込まれ、日米安保体制がいよいよ、憲法と相いれない存在に変貌する危険があります。


 自衛隊は2025年3月までに、部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を創設。これに合わせ、在日米軍司令部の機能強化が検討されています。具体的な方向性は、5月末に行われる日米安保協議委員会(2プラス2)で合意されます。防空と敵基地攻撃を一体化し、先制攻撃を前提とした「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」や、南西地域での日米ミサイル網の運用能力などを高めるのが狙いです。攻撃目標を特定する情報収集能力をはじめ圧倒的な力を持つ米軍の指揮下に自衛隊が事実上置かれることは不可避です。

 声明では、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への増額や敵基地攻撃能力の保有、南西諸島の軍備増強などについて米側が「歓迎」を表明。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の「着実な実施」を確認します。

 また、米国製長距離巡航ミサイル・トマホークの導入に向けた自衛隊の訓練や艦船の改修に、米国が協力すると確認します。米英豪の軍事枠組み「AUKUS(オーカス)」と日本の協力を検討すると表明。極超音速ミサイルや人工知能(AI)など先端軍事技術の開発に、日本が関与を深めます。

 声明は、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針の改定を歓迎。兵器の共同開発・生産を強化するため「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議」(DICAS)を創設。新たなミサイルの共同開発や生産、米艦艇・航空機の維持整備などについて議論するなど、日本の軍需産業を米戦略に動員する方向を打ち出します。

 米国の「核の傘」を含む拡大抑止について5月末の2プラス2で「突っ込んだ議論」を行うことで一致。核兵器禁止条約に背を向け、核抑止のさらなる強化を打ち出します。

 中国を念頭に置いた半導体の研究開発・設計分野の推進や、強靱(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)の構築に向けた協力を確認。宇宙分野では、米国主導の有人月探査「アルテミス計画」で日本人宇宙飛行士を月面着陸させる目標を共有します。

日米共同声明(骨子)

【軍事協力】

  • 日本の大軍拡路線を歓迎
  • 辺野古新基地建設・南西地域の同盟強化を推進
  • 日米それぞれの指揮・統制枠組みを向上
  • トマホーク運用へ自衛隊の訓練、艦船の改修を推進
  • AUKUSへの日本の協力検討を表明
  • 武器の共同生産・維持整備を促進する枠組み創設
  • 拡大抑止(核の傘)強化を継続

【宇宙分野】

  • 日本人宇宙飛行士の月面着陸を共通の目標に

【経済安保】

  • 半導体の研究開発・設計分野で協力推進
  • 強靱なサプライチェーン構築へ協力を確認

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