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2024年4月11日(木)

きょうの潮流

 世界が戦争の影に覆われていた1942年、米国で極秘の計画が動きだします。当時の額面でおよそ20億ドル、5万人にのぼる科学者や技術者が投入されました▼原爆をつくるための「マンハッタン計画」です。ロスアラモスの研究所を拠点とし、ナチス降伏の2カ月後に史上初の原爆実験に成功。そのわずか20日後、広島・長崎に投下しました▼核の時代の幕開けとなった計画。研究所の所長として主導したのがオッペンハイマーです。彼の半生を描き、アカデミー賞の作品賞をうけた映画が日本でも公開されています▼悪魔の兵器を世に送り出し、血塗られた破壊者となった科学者の苦悩。戦後、水爆の開発に反対の姿勢をとったことで、戦争を終わらせた「英雄」から一転。赤狩りのなかでスパイの汚名をきせられます▼戦争抑止のためとされながら際限のない核競争は人類を破滅の危機に陥れ、それは今も。ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用をちらつかせ、米下院議員がガザを「長崎や広島のようにするべきだ」などと口にする。米国内ではいまだに原爆を使ったことは正しかったとする人たちが少なくありません▼「私には良い答えがない」。がんによって62歳で死去したオッペンハイマーは苦悩を抱え続けました。米国の若者たちの間では、原爆に関心をもち、日本に謝罪すべきとの考えが広がっているといいます。唯一の戦争被爆国である日本。その政府には被爆の実相を知らしめ、核なき世界の実現に尽くす役割があるはずです。


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