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2024年4月24日(水)

きょうの潮流

 戦火想望俳句。この言葉を俳人で文芸家の堀田季何(きか)さんに教わりました。戦時平時を問わず戦地や戦火に包まれた街の景を想像して作る句のことです▼堀田さんは本紙「俳壇」を2022年から2年間執筆。今年度からは「NHK俳句」に選者として出演しています。主宰を務める「楽園俳句会」は有季も無季も定型も自由律も全て可、多言語対応の結社です▼13日に都内で開かれた「俳人『九条の会』新緑のつどい」でも講演し、今こそ戦火想望俳句を作り広めようと呼びかけました。俳句は、凝縮した言葉で一瞬にして戦争の恐怖を脳裏に焼き付けられる、短さゆえに簡単に伝えられ、平和のバトンを次々に手渡していける、と▼例として池田澄子氏の句〈春寒き街を焼くとは人を焼く〉〈焼き尽くさば消ゆる戦火や霾晦(よなぐもり)〉を挙げ、その師・三橋敏雄が戦火を想像で書くとはけしからんという風潮に対して「そこで死ぬかもしれない場がどのようなところなのかを、必死で想像するのは当たり前のことじゃないか」と反論したことを紹介しました▼「想像力の欠如が戦時の戦争賛美や戦争協力、平時の戦争推進につながる」と堀田さん。自身にも〈塀一面彈痕(だんこん)血痕灼(や)けてをり〉〈ひややかに砲塔囘(まわ)るわれに向く〉〈ぐちよぐちよにふつとぶからだこぞことし〉等の句があります▼もはやウクライナやガザの惨状は苛酷な現実です。かの地でも「戦争止めて」の悲願を込めて俳句が詠まれています。〈屋根なき家今朝までは誰かの家庭 L・ドブガン〉


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