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2024年9月3日(火)

主張

自民党総裁選

政治の行き詰まり打開できず

 自民党の総裁選に候補者が次々と名乗りを上げています。総裁選は、次の解散・総選挙に向けた、まさに“自民党の顔選び”の様相です。しかし、いくら「刷新感」を演出しようとしても、内輪の争いでは、深刻な自民党政治の行き詰まりを打開できません。

■見えない路線論争

 いま問われているのは、岸田文雄首相の政権投げ出しのきっかけとなった統一協会との癒着や裏金問題をはじめ、安全保障政策でも経済政策でも完全に行き詰まりを見せる自民党政治そのものです。

 ところが、総裁選では、安倍政権以降、12年にわたって続けられた自民党の政治路線に対する論争が全く見られません。

 それもそのはず。自民党は、安倍政権が退陣に追い込まれて以降も、その政治路線を継承し、総裁選による表紙のすげ替えだけで選挙を乗り切るやり方を繰り返してきたからです。

 今回の総裁選に名乗りを上げる候補もみな、安倍・菅・岸田政権で閣僚や党の要職にいた人物ばかりです。どの候補も行き詰まった政治路線を転換するすべはなく、派閥の領袖(りょうしゅう)を頼るなど支持者集めに躍起です。あるのは、国民の願いとはかけ離れた権力争い=政争です。

■裏金解明に背向け

 だから、どの候補も、国民の中に広がる政治不信に、まともに向き合おうとしません。

 とりわけ裏金問題は、個々の議員による政治資金収支報告書の訂正だけでは済まされない重大問題です。

 しかし、総裁選で各候補が訴えるのは、政治資金収支報告書への不記載額の「返納」や、処分された裏金議員を次の選挙での「非公認」にするなどという小手先の対応ばかりです。しかも、裏金議員から反発の声があがると、発言がブレるなど迷走する場面が早くも生まれています。

 裏金をめぐっては、選挙区内の有権者に違法な香典提供をした疑い(公職選挙法違反)のある堀井学衆院議員(8月28日に辞職)が政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いでも略式起訴されました。堀井氏は、裏金が香典の原資の一部となったと説明しているとも報じられています。

 裏金が違法に使われているのではないか―。誰が、いつ、何の目的で、どのように裏金づくりを始めたかを含め真相を明らかにして、厳正な処分を行うべきです。小手先の対応で幕引きをはかろうとする動きを絶対に許すわけにはいきません。

 裏金事件で明らかになった政治腐敗の温床に切り込むなら、真相解明、処分と合わせ、30年前の「政治改革」の際、焦点となった企業・団体献金の禁止にまで踏み込む議論が必要です。

 いま、国民が求めているのは、総裁選での「刷新感」の演出ではなく、自民党政治そのものの転換です。

 安倍・菅・岸田と3代にわたって引き継がれてきた立憲主義破壊の軍拡路線、大企業本位の経済政策の破綻は、国民の安全と暮らしに重くのしかかり、先行きを暗くしています。

 総裁選後、自民党が解散・総選挙に打ってでるというなら、今度は国民が自民党政治そのものに退場の審判を下す必要があります。


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