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2024年10月30日(水)

きょうの潮流

 「どの子もみんなすばらしい問題児」。それが先日亡くなった児童文学作家、中川李枝子さんの持論でした。そもそも子どもは欠点だらけで当然。でも、みんな立派に成長するのだと▼子どもを信じて、見守る温かな視線を感じます。代表作である「ぐりとぐら」の主人公である双子の野ねずみも、自分たちのしたいことをのびのびと繰り広げます▼中川さんがデビューしたのは1962年。無認可保育園の保育士をしながらのことでした。著書の『子どもはみんな問題児。』によると、保育園で目の前にいる子どもたちをなんとか喜ばせようと思って、お話をつくったのが作家になったきっかけだといいます▼保育士として培ったやさしい眼差(まなざ)しで、子どもたちにも親たちにも共感を呼ぶ人気作を次々と生み出しました。「ぐりとぐら」シリーズは累計2000万部を超え、世代を超えて読み継がれています。アニメ映画「となりのトトロ」のオープニング曲「さんぽ」の作詞者でもあります▼厳しい競争が強いられ、子どもたちへの眼差しも、「早くこれができるように」「みんなに負けないように」と、なりがちな世の中です。中川さんが残したのは、子どもが子どもらしく生きる時間を十分につくってあげることの大切さではないでしょうか▼大人にとっても子どもにとっても、豊かに生きられる、ゆとりある社会とそれを実現する政治が求められています。「問題児」がみんな自分らしさを失わずに生きられるよう大人たちが力を合わせましょう。


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