2024年11月7日(木)
主張
高裁「違憲」2例目
「婚姻の平等」法制化へ前進を
戸籍上同性のカップルの結婚を認めないのは違憲とする2例目の高裁判決が出されました。札幌高裁に続く東京高裁の判決です。
10月30日の東京高裁判決は、同性カップルの結婚の規定がないことは、「性的指向による差別」と述べました。憲法14条1項が定める「法の下の平等」、24条2項の「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した立法」に反すると判断しました。
■司法判断流れ定着
3月の札幌高裁判決は、これらに加え、「結婚の自由」を定めた憲法24条1項に照らしても違憲としています。
地裁段階では6件のうち5件が「違憲」「違憲状態」としています。同性カップルに対する差別の放置は許されないとの司法判断の流れが定着し、地裁から高裁へと進むにつれて強くなっています。
東京高裁判決は、結婚がもたらす「配偶者としての法的身分関係」の形成は、安定・充実した社会生活の基盤をなす「重要な法的利益」と位置づけ、それらが与えられないことによる「不利益は重大」だとしました。
「子を産み育てる」ことは結婚に不可欠な目的ではないと強調したうえで、実際に子を養育している同性カップルがいることも示し、婚姻制度の目的との関係で異性間、同性間を区別する合理的根拠があるとはいえないと指摘。同性カップルの結婚を認めないのは、法の下の平等を定めた憲法に違反すると判断しています。
司法の違憲判断の背景には、同性婚をめぐる国内外の変化があります。
■内外で前向き変化
世界37カ国・地域が同性婚を認めています。国際条約である自由権規約は性的指向による差別を禁止しており、日本は同規約を批准しています。国連の自由権規約委員会の日本に対する勧告は、男女間の婚姻と同様の権利利益を同性間に認めるよう求めています。
国内でも、人口の9割近くを占める地域で性的少数者のカップル関係を認める「パートナーシップ制度」が導入されています。国民の意識調査でも、「年を追うごとに同性婚を認めることに賛成する者が増え、反対する者が減る傾向が顕著」(東京高裁判決)です。
判決は立法について言及し、具体的な制度について「個人の尊重(憲法13条)と法の下の平等(憲法14条)という基本原則に立脚した制度とすべきである」と述べています。配偶者の地位にあることで生じる権利について、男女間の婚姻とは異なる規律とすることは憲法違反の問題が生じ得るとしました。
同時に具体的な制度のあり方が国会の合理的な立法裁量に委ねられるとしても、それは立法措置をとらない理由にはならないとも指摘しました。国会は、この指摘を真摯(しんし)に受け止め、早急に法制化に向けた準備に着手すべきです。
市民の調査によれば、今回の衆院選挙の結果、当選した全議員の5割が同性婚に賛成しています。同性婚に反対の議員が、賛成する議員の3倍に上る自民党は少数与党になりました。国会が主導して「婚姻の平等」に向けた立法を実現していくときです。