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2024年11月21日(木)

絶滅危惧種の花 消失

世界自然遺産 日米演習で踏みつぶしか

鹿児島県徳之島

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(写真)つぼみが膨らんでいたクニガミシュスラン=10月26日午前、鹿児島県徳之島の井之川岳(「徳之島虹の会」提供)

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(写真)クニガミシュスランが踏みつぶされた跡。花は消失=10月27日午後、鹿児島県徳之島の井之川岳(「徳之島虹の会」提供)

 世界自然遺産に登録されている鹿児島県徳之島で、最大規模の日米共同統合実動演習「キーン・ソード25」(10月23日から1日)の山地訓練で世界自然遺産のコアエリア(核心地域)に生息する絶滅危惧種の花が踏み荒らされ、株ごと消失したことが分かりました。18日に徳之島の伊仙町役場で開催された世界自然遺産に関する会合で地元のNPO法人が証言しました。

 自然保護などに取り組むNPO法人「徳之島虹の会」によると、10月26日午前に井之川(いのかわ)岳で、絶滅危惧種の「クニガミシュスラン」のつぼみが膨らんでいるのを確認。しかし27日の午後にはすでに踏み荒らされていました。

 本紙の取材に防衛省の統合幕僚監部は、井之川岳の他、同様に世界遺産エリアに指定されている天城(あまぎ)岳、犬田布(いぬたぶ)岳の島内3山で10月25~28日に「山地機動訓練」、同27~28日に「偵察訓練」を行ったことを認めました。

 一方、同会による証言について地元紙の報道で「承知している」としましたが、「自衛隊員が踏み荒らしたという事実は確認できない」と強弁しました。

 クニガミシュスランが花をつけるのは非常に珍しく、同会事務局長の美延睦美(みのべ・むつみ)さんが開花を確認したのは10年以上前だといいます。貴重な開花が文字通り訓練につぶされたのです。

 美延さんは、世界遺産のコアエリアは、「全世界にとって大切な場所」だと強調。井之川岳は生物多様性豊かな地域であり、アマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミなど希少な生物が生息していて、絶滅危惧種の植物も多く存在していると指摘します。

 また徳之島は世界遺産エリアの面積が小さく、人間の生活の場と近接、区域が二つに分割されており、環境保全管理が困難で、ただでさえ環境が「失われやすい」と訴えました。

 美延さんは、井之川岳は国立公園特別保護地区に指定され「木の実1個、葉っぱ1枚すらとってはいけない」最高ランクの環境保全活動が実施されている地域だと指摘。自衛隊の訓練自体に反対しているわけではないが、「世界の宝」の島をなぜ訓練地にわざわざ選んだのか、「非常に疑問」だと批判しました。

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