2025年3月28日(金)
きょうの潮流
視聴者が払う受信料をもとにつくられているNHKのドラマ制作費は、多いもので1本約8千万円。2025年度の収支予算と事業計画の説明資料にありました▼放送中の大河ドラマ「べらぼう」は江戸中期の吉原遊郭で物語が展開していますが、その描き方には批判の声も。多額の受信料を使って作るなら、1950年代に、やがて政界汚職事件に発展する、スキャンダルにまみれた「公娼(こうしょう)」「私娼」に関わる実録ドラマはどうか▼57年10月、当時の新聞によると「公娼」の業界団体を名乗る新宿カフェー協同組合理事長が業務上横領罪で起訴され、使途不明金が追及されます。東京地検特捜部の捜査で、業者が監督官庁の四谷警察署の署員に盆暮れの贈り物や接待をしていた疑惑が浮上▼事件に関わった署員は後日、一斉処分される事態に。さらに同署保安係が、管内の「私娼」の業者から熱海旅行のもてなしを受けていたことまで明らかになりました▼業界は自民党としっかり手を組んでいました。元読売新聞記者・本田靖春の『不当逮捕』によると、56年に売春防止法が成立した理由は、自民党が目前に迫った参院選で女性票を失うことを恐れ賛成したため。ところが、成立後も法の完全実施を遅らせるため、自民党の関係委員会は業者と結び党幹部や政府に延期を迫った―▼NHK予算の説明資料には、「究極の使命」は民主主義の発達に資することとあります。女性に苦しみを強いてきた歴史を今に伝えることもその使命の一つなのでは。