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2025年3月29日(土)

破綻する関西万博(2)

国民負担 赤字で負担増の危険

グラフ

 「1400万枚は難しい。もう無理だ」。吉村洋文大阪府知事は13日、記者団にこう語り、万博前売り入場券の販売目標の断念を事実上認めました。開催まで18日となった26日現在の累計販売枚数は約851万枚にとどまっており、前売り目標の6割にすぎません。

 ところが吉村氏ら協会関係者は、「愛知万博(2005年)のときよりは多い」などと述べ、開き直っています。万博協会の十倉雅和会長(経団連会長)は17日、修学旅行などでまだ販売実績に含まれないものとして現時点で200万枚程度の販売が見込まれ、足せば1000万枚超となると主張。愛知万博の前売り実績約939万枚を超えていると強調しました。

 大阪・関西万博の想定来場者数は2820万人と大風呂敷を広げてきたのに、目標が1500万人と半分程度だった愛知万博と比べて「見込み」の話まで持ち出さざるをえないこと自体が破綻を示しています。

行かない7割

 今回の万博ではチケットの販売経路も偏っています。協会によると12日時点では累計販売枚数の8割弱が企業・団体の購入でした。あと約200万枚の「販売見込み」があるといっても、うち約140万枚は修学旅行や校外学習といった学校動員です。

 共同通信の世論調査(22~23日)では万博に「行きたいとは思わない」が74・8%と圧倒。「行きたいと思う」の24・6%を大きく上回りました。多くの世論調査で5割以上が来場意向を示していた愛知万博との差は鮮明です。

 大阪・関西万博ではカジノのインフラ整備のための夢洲(ゆめしま)への誘致で諸矛盾が噴出。国民無視の姿勢に批判が強まり、開催の意義や魅力もわからないと個人の来場意向が大きく低迷していることは明らかです。

問われる姿勢

 万博の運営費1160億円の8割強(969億円)は入場券収入で賄う計画です。現在の2倍以上のペースで、1840万枚が販売できなければ赤字となります。住民に負担が転嫁される恐れがいよいよ強まっています。

 会場建設費は大屋根リングなどが追加され、当初の約1250億円から約2350億円へと約2倍に膨張。「会場周辺のインフラ整備」(約800億円)と「会場へのアクセス向上」(約7720億円)には国費など計8520億円がかかります。万博に乗じる関連インフラ整備費は全体で約10・2兆円にのぼります。

 国民の暮らしはそっちのけで万博や関連事業に税金を注ぎ込む姿勢が問われています。

 (つづく)


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