2025年3月30日(日)
破綻する関西万博(3)
校外学習 学校の不参加相次ぐ
![]() (写真)「万博遠足」も万博も中止をとアピールする人たち=2月25日、大阪市中央区 |
「教育委員会が学校単位では行かないと決めてくれてほっとしました」。小学生と4月から新中学生の2人の子どもがいる大阪府吹田市の津島美琴さんは胸をなで下ろしました。「爆発の危険があるメタンガスが発生し続けている危険なところに子どもを行かせたくありません」
大阪府が進める小中高校生を校外学習として学校単位で招待する事業に保護者や教職員から安全面等の懸念、不安が広がり、不参加の学校が相次いでいます。
大阪府に意見書
吹田市では市民団体が教育委員会や各学校に参加しないよう要請し、市議会では府に再検討を求める意見書を可決。市教委は府教育庁に懸念事項を問い合わせたうえで「昼食場所、待機場所での熱中症対策や安全に団体行動するための動線、点呼・待機場所の確保が不十分」と判断し、市立小中学校全54校を不参加としました。
府内では交野市、熊取町、島本町でも公立の全小中学校、堺市で41校、摂津市で全市立中学校が参加を見送るなど不参加が増え、低学年は行かない学校もあります。教育庁によると昨年7月時点の参加希望は約68万人でしたが、今年1月15日時点では58万人へ10万人も減少しています。
一方、参加校でも、教員の下見は4月に入ってからで、貸し切りバスで行く場合、トイレの対応がどうなるのか、駐車場から入り口まで1キロも低学年が歩いていけるのか、電車で行く場合も乗り換えやトイレなどがスムーズにできるのかなどの懸念や、昼食場所に日陰があるのか、雨天時はどうなるのか―など「わからないことだらけ。下見しても十分確認できるのかどうかもわからない」といった声が絶えません。「パビリオンが選べず教育的意義がわからない」「子どもが無事に帰ってくるか不安。行かせるかどうか悩む」という保護者もいます。
校舎を改修せよ
万博協会は、小学校低学年のバスは入り口に一番近い場所で駐車できるようにしましたがそれでも850メートルもあります。駐車場(団体バス用第2交通ターミナル)にトイレは設置されますが、「数が非常に少ない」と注意喚起する県教育委員会があるのが実際です。
大阪教職員組合は「誰も安全とは言えない万博は中止すべきです。大阪府は万博より教員不足の解消をはじめ、府立高校つぶしを中止しぼろぼろ校舎の改修、少人数学級拡大など教育環境の充実こそ行うべきです」と主張しています。(つづく)