しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2025年4月1日(火)

破綻する関西万博(5)

商業主義 規制緩和の実験場に

写真

(写真)規制緩和要求を掲げて展示が行われる大阪パビリオン

 「とても気持ち良かった。実用化できたらおもしろい社会になる。素晴らしいパビリオンに仕上がった」

 大阪府の吉村洋文知事は、大阪ヘルスケアパビリオンの内覧会(23日)で、シャワーメーカーの「人間洗濯機」を体験披露し、こう自画自賛しました。

 しかし、「人間洗濯機」の洗浄技術は、すでに商品化され介護施設などで使用されているもの。それに映像や音楽を加えた程度で「25年後のミライ」と呼ぶほどの中身はありません。

 他にも、「ミライの美容室」「ミライの個人別ドリンク自販機」「ミライのビフィズス菌効果」など技術やサービスをアピールし、自社商品の売店へ案内できる場所ともなっています。

国際ルールは

 もともと万博は「過度な商業主義の防止」を国際ルールに掲げ、個別企業の商品やサービスの販売・アピールは制限されてきました。しかし、大阪・関西万博では「社会実装の実験場に」(吉村氏)とぶちあげ、個別企業の商品化への支援が押し出されています。

 そのために掲げるのが、国民の安全・安心を守る規制の緩和です。来場者の個人情報の利活用、先進医薬品や健康保険のきかない再生医療の促進、「空飛ぶクルマ」の操縦・飛行規制の緩和など、関西財界や大阪府市などが掲げる要望は60項目以上。最たるものが万博開催中の「日本版ライドシェア」の緩和です。

 公共の福祉の名で2種免許を持たない運転者の導入を地域・期間限定で認める「日本版ライドシェア」を緩和。運行エリアが大阪府内全域に拡大され24時間運行ができます。5月末まで315台が運行可能。しかし時給は1400円から2000円程度でタクシー労働者の賃金を低く抑えることになりかねません。

労働条件低下へ

 自交総連の庭和田裕之委員長は「東京ではアプリ配車の多くがライドシェアに持っていかれ、タクシー乗務員から悲鳴が上がっています。万博が開催してもタクシーが不足することはなく、乗客を奪い合い、全体の労働条件が低下することは目に見えています。万博に乗じた規制緩和は許されません」と指摘します。

 ところが維新は「ライドシェアを全面解禁せよ」と国会で質問。ライドシェアの全面解禁法案を提出するとして規制緩和をあおっています。庭和田さんは語ります。「ライドシェアが全面解禁されればタクシー産業自体が荒廃し衰退しかねない。乗客の安心・安全と地域公共交通を守るために現行の2種免許の運転者を堅持し、希望が持てる労働条件への改善こそ必要です」(つづく)


pageup