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2025年4月2日(水)

主張

先島諸島の有事避難

許されない沖縄の戦場化想定

 20万人余の犠牲者を出した悲惨極まる沖縄戦から80年、政府が有事に際し沖縄県の宮古・八重山諸島(先島諸島)の住民約11万人を九州・山口各県に避難させる計画を公表(3月27日)したことに強い懸念の声が上がっています。

 沖縄の地元紙は「80年後の今、再び避難という名の事実上の疎開が持ち上がっている」(沖縄タイムス同30日付社説)、「沖縄の戦場化を前提とした計画は受け入れられない」(琉球新報同28日付社説)と厳しく批判しています。

 計画は、武力攻撃が予測される事態を想定し、先島諸島の5市町村(宮古島市、石垣市、竹富町、与那国町、多良間村)の住民約11万人と観光客ら約1万人を避難させるというものです。約11万人の住民は九州・山口8県の32市町で受け入れるとしています。各自治体の受け入れ人数や輸送手段、収容施設の見込みなどを盛り込んでいます。

■米中戦争の最前線

 政府は、避難計画について「特定の有事を想定したものではない」としていますが、メディアは一斉に先島諸島に近い台湾有事を念頭に置いていると指摘しています。しかし、台湾有事でなぜ、沖縄の島々が武力攻撃を受けることになるのか。

 米国のヘグセス国防長官は3月30日、中谷元防衛相との会談の後の記者会見で「米国は台湾海峡を含むインド太平洋において、強固で即応性があり信頼できる抑止力を維持することに尽力している。日本は、われわれが西太平洋で直面する可能性がある、いかなる緊急事態でも最前線に立つことになるだろう」と述べました。台湾をめぐる米中戦争の「最前線」に日本を立たせようという狙いを露骨に示すものです。

 この点に関連し、石破茂首相は著書『保守政治家』(昨年8月)で「『台湾有事、即日本有事』となる可能性は相当低い」と述べる一方、「中国が台湾に武力攻撃を行い、米国がこれに反撃する状況となれば、アジア有数の戦略拠点である在日米軍基地はフル稼働となる」「そうなれば、日本は中国から直接の脅迫、あるいは武力行使を受けることになる可能性が高まります」と指摘しています。

■計画は机上の空論

 しかも、日本は安保法制に基づき、海外で米国が戦争を始め、日本の存立が脅かされる事態になった場合、集団的自衛権を発動し、米軍を支援するため自衛隊が武力を行使できます。政府はその際、長射程ミサイルなど敵基地攻撃能力の使用も認めています。

 そうなると、自衛隊の増強が進む先島諸島だけでなく、米軍基地が大規模に集中する沖縄本島や、長射程ミサイルの配備が検討されている九州なども攻撃対象になります。今回の避難計画に対し「本島の住民はどこに避難するのか」「九州が安全な避難先になるのか」など疑問の声が上がっているのは当然です。

 沖縄の地元紙は「沖縄戦で住民保護が机上の空論でしかないことは証明されている」(前出の琉球新報社説)と指摘します。戦争が始まれば住民の犠牲は避けられません。戦争を起こさせない外交努力こそ求められています。


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