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2025年4月19日(土)

「生活保護減額は違法」 広島高裁

原告勝訴 高裁7件目

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(写真)判決後、「勝訴」「司法は生きていた」との幕を掲げる弁護士=18日、広島市

 国が2013年から行った生活保護費の引き下げは違憲・違法として、広島県内に住む生活保護利用者が国や自治体に処分取り消しを求めた「生活保護引き下げ違憲訴訟」の控訴審判決が18日、広島高裁でありました。河田泰常裁判長は、生活扶助基準を切り下げることに合理性があるとは認められないなどとして、原告の訴えを認めた一審判決を支持し、被告の訴えを棄却しました。

 裁判所前に「勝訴」「司法は生きていた」の2枚の幕が掲げられると、待ち受けていた多くの支援者らが拍手し、「やったー」と喜びの声を上げました。

 判決は、デフレ調整として食費や光熱水費など生活扶助の基準を4・78%引き下げた厚生労働相の判断について「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無から見て明らかな過誤、欠落があった」「裁量権の範囲の逸脱またはその乱用がある」と指摘し、「生活保護法3条、8条2項に違反して違法である」としました。

 14年に広島地裁に提訴した裁判は、この間20人もの原告が亡くなっています。判決後の報告集会で、津村健太郎弁護団長は国側が上告することも踏まえ、「最後まで闘い抜こう」と呼びかけました。

 日本共産党の藤井敏子、河村晃子の両県議や広島市議団が高裁前や報告集会に参加しました。

全生連など声明

 広島県内の生活保護利用者が国と自治体に保護基準の引き下げ取り消しを求めた裁判(いのちのとりで裁判)で広島高等裁判所が18日に原告勝利の判決を出したことを受け、広島県生活と健康を守る会連合会と全国生活と健康を守る会連合会は同日、声明を発表し、国に早急な保護基準の回復を求めました。

 声明は、全国の同種の裁判で高裁では7件目の勝利判決だと指摘。判決は「原告らの置かれた大変厳しい生活実態と真摯(しんし)に受け止め」たとして、「憲法25条が定める健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する勝利判決」だとしました。

 国に対し、(1)ただちに基準引き下げ前の2012年時に戻すこと(2)物価高騰に見合う10%以上の大幅な引き上げ(3)低所得者の消費支出と比較する基準の算定方法を改めること―の3点を求めました。


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