しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

「学童守れ」34万人署名

写真

メーデー会場で「学童保育をなくさないで」と訴える指導員ら=5月1日、大阪市

 「短期間で34万署名、学童保育発祥の大阪の底力だ」―。大阪市職員の1人は驚きを隠しません。「学童保育をなくさないで」署名は、5月29日に34万人を超えました。

必要な居場所

 大阪市改革プロジェクトチーム(PT)は4月5日、学童保育への補助金を来年4月に廃止すると発表。父母らは直ちに署名運動を開始しました。

 住吉区の「こうま学童保育所」に小学6年の障害児を通わせている木村圭子さん(39)は学童保育の役割を訴えます。

 「うちの子は健常者と学童保育で遊ぶことで成長しました。歩けなかったのに、いまでは太ももが発達し、少しなら走ることもできます。学童保育は私たち親子に多くの希望を与えてくれました」

 学童出身の中学生も署名を訴えました。

 「僕は小学校で嫌われていたので、泣いて学童に帰ったこともありました。指導員は必ず話を聞いてくれたので、僕はつらさを忘れました。学童は必要な居場所です」

 署名はいっきに広まり、学童保育指導員もがんばりました。

 「私たちの学童保育では9833人分集めました。指導員だけでは無理です。保護者と元学童の青年が大きな力を発揮しました」(中央区の指導員)

 「仲間と署名集めを競い合いました。負けるわけにはいかないので、地域の人にたくさん手紙を書きました」(阿倍野区の指導員)

 学童保育と地域社会の共闘、市民のたたかいの前に市は5月11日、補助金廃止を撤回しました。

運動継続して

 補助金継続が決まっても、学童保育運営の厳しさに変わりはありません。市内には106の学童保育所(すべて民設民営)があり、留守家庭児童2021人が通っています。

 補助金は3億4579万円(2012年度通年見込み)で、運営費の3~4割にしかなりません。西淀川区「がんばれ学童保育所」(児童数17人)の父母会長・堀向克己さん(46)は語ります。

 「うちの学童保育の家賃は月15万円。指導員の給与の遅配は絶対だめです。地域で寄付金を募り、バザーや祭りで焼きそばを焼くなどして、運営費をひねりだしています」

 堀向さんには新たな心配事があります。市は、学童保育を放課後事業における「補完的役割」と位置づけ、放課後事業自体を2年後に「再構築」すると発表しました。

 大阪市学童保育連絡協議会の泊唯男事務局長(57)はいいます。

 「前市政と比べて、橋下市政における学童保育の位置付けは後退しました。現在、私たちは『マイナスからの再スタート』と考えています。補助金廃止撤回運動でつくりだした運動のエネルギーを引き続き連続させ、学童保育が『補完的』ではなく放課後事業の『中心』となるよう、市に迫っていきます」

(つづく)

 メモ 大阪市学童保育連絡協議会によれば、学童保育の発祥は1948年誕生の大阪市東住吉区の「今川学童保育所」。98年に児童福祉法と社会福祉法上の施設に位置づけられました。

(「赤旗」2012年6月9日付)

[目次]


pageup