住民利益を守って
日本共産党員の市町村長が語る
情報公開へ出前講座も
兵庫・福崎町長 嶋田 正義さん
図書館を造れば、本もいるし、人員も配置しなければならない。財政が厳しい中で、こういうハード面に予算をつけるのは難しいのですが、町議も百パーセント賛成。うれしいですね。教育に対する町民の思いに支えられていると思います。
町長になってから心がけているのは、情報公開です。町政運営の基本にしています。町役場の一階に情報公開ルームを設けて、入札結果もすべて見られるようにしています。町のやっていることを「知ってもらう」ことが必要なんです。
その一環として、昨年から「まちづくり出前講座」を始めました。町民の聞きたいことに、町職員が出向いて話す。十人くらいでも出かけます。先日、出前講座に行った中学校から報告をまとめた文集が届きましたよ。
出前講座は職員の研修でもあるんです。人前で上手に話すのは難しい。だから「誰にでも分かる言葉で話すように」といっています。「起債」なんていわずに「借金」といいなさい、とね。内容が変わらない程度に、住民が分かる言葉にしなければなりません。
私が町長になる前に起きた「もちむぎ食品センター」(第三セクター)の不正事件では、みなさんにご心配をかけました。最終的に三億円余の使い込みが分かり、社長を交代して三年目に二十四円の黒字になりました。ことしは千七十万円余の黒字です。
町長になってことしで九年目。毎議会、野党議員に「政治姿勢を聞かせてくれ」と言われます。「町民こそ政治の主人公」「憲法を暮らしのなかへ」「有理(道理がある)、有利(利益がある)、有節(節度がある)」と答えています。要は、町民のいのちと暮らしを守るということ。それが最優先です。
福崎町でも、隣町との合併協議をおこなっています。福崎町は乳幼児医療が就学前まで無料ですし、水道料は隣町の半額です。私としては、福崎町は単独でやっていけるし、合併してもいいことないと思うんですが。いずれにしても、最終的には町民が判断することです。そのために、できるだけたくさんの判断材料を提供し、知っていただくことが大事だと考えています。
予算編成では「現状を守る」ことで精いっぱいになっているのも事実です。長い間かけてつくってきた住民の権利や生活を守る制度が、「三位一体の改革」などでどんどん切り崩されています。今年度は二億三千五百万円も国からのお金が削られました。町の貯金を取り崩してやっていますが、本当に厳しい。
しかし、人々の生活も本当に苦しい。だからこそ私たち、身近な自治体が福祉を守る意思を示さないといけません。
《データ》 2003年11月3選 人口約2万人 議会定数18 党議員3人 |
聞き手・和田肇記者
(2004年12月15日「しんぶん赤旗」より)
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