日本共産党


「短時間労働者・有期雇用労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保に関する法律(略称・パート・有期労働者均等待遇法)案」の発表にあたって

2003年4月18日 日本共産党国会議員団


 今日の雇用情勢の悪化のもとでパートタイム(短時間)労働者が急増しています。しかも、賃金その他の労働条件について、一般の常用雇用労働者(一般労働者)とパート労働者の格差が拡大するなど、事態は深刻です。1200万人にのぼるパート労働者の7割以上を女性が占めていますが、女性パート労働者の時間あたりの賃金は、一般労働者の49.7%、男性一般労働者の34.4%に過ぎません。同じ時間働いても賃金は3分の1というのが実態です。この他、職業訓練、有給休暇、社会保障などでも差別があるばかりか、何年勤務しても企業の都合で「雇い止め」とされ、簡単に解雇されてしまうというのが現実です。有期雇用労働者の実態も深刻です。こうしたパート労働者等の劣悪な労働条件をこれ以上放置することはできません。

 現行「パート労働法」は、パート労働者と一般労働者の「均等待遇」を義務付けてはいません。政府は、この1年余、パートタイム労働者問題を検討し、本年3月に労働政策審議会雇用均等分科会「最終報告」をまとめましたが、この「最終報告」は、「パート労働法」に基づく「指針」改正を提言しているだけで、強制力のある法改正は盛り込まれていません。 

 日本共産党は、賃金格差、社会保障、解雇など、パート労働者等であることによる差別をなくすため「パート・有期労働者均等待遇法案」を提案します。

「パート・有期労働者均等待遇法案」の内容

日本共産党は1989年11月、「パート労働法立法提案要綱」を発表し、また93年6月、参議院労働委員会に「パート労働法修正法案」を提案しました。これらの立法提案はいずれも、賃金、福利厚生、社会保険適用、母性保護などの労働条件におけるパート労働者と一般労働者との差別を禁止するものです。

 今回の法案は、有期労働者も対象に加えるなど、従来の提案内容を一層発展させ、「パート労働法」の改正法案として提案するものです。

(1)法律の対象をパートタイム労働者だけでなく有期労働者等に拡大する。

(2)事業者は、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、労働者がパート・有期労働者であることを理由として、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならない。

(3)事業者は、通常の労働者を募集しようとするときは、パート・有期労働者に応募の機会を優先的に与えなければならない。事業主は、通常の労働者について、育児・介護などの事由のために、労働者が申し出た一定期間、パートタイム労働者として雇用する措置をとるよう努めなければならない。

(4)厚生労働大臣は、「均等待遇」に違反している事業主に対し、勧告を行い、それに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(5)厚生労働大臣は、勧告、公表の措置を講じても従わない事業主に対し、是正命令を発することができ、命令に従わなかった場合の罰則を設ける。

(6)国は、官公需の契約締結の際、パート・有期労働者を均等待遇している企業と契約するよう努めるものとする。

【関連文書】


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