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日本共産党

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赤旗

➡2021総選挙 分野別政策一覧

5、介護

コロナ危機から介護の基盤を守り、制度改悪にストップをかけ、高齢者も現役世代も安心できる公的介護制度に改革します

2021年10月

介護の基盤を支え、利用者・従事者の命と暮らしをコロナ危機から守ります

 コロナ危機は、日本の公的介護制度の弱点と矛盾を浮き彫りにしました。

 新型コロナ感染症の感染拡大を受け、訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)では深刻な利用抑制が起こり、介護事業所が大幅な減収に見舞われています。

 感染防護に向けた現場の必死の努力にも関わらず、全国各地の介護・福祉施設でクラスター(集団感染)が発生し、多くの利用者・従事者が深刻な被害にさらされました。

 もともと、介護の現場では、職員の低処遇・長時間労働・人手不足が大問題となっていましたが、コロナ危機で職員の過重労働はいっそう苛酷になり、ヘルパーや施設職員が暴言・ハラスメントを受ける事例も急増しました。現場の疲弊は極限に達し、介護従事者の“コロナ離職”も相次いでいます。2020年の「老人福祉・介護事業」の「倒産」「休廃業・解散」は、介護保険法が施行された2000年以後、過去最多水準となりました。

 政府は、コロナで経営難となっている事業所への“救済策”として、通所介護、ショートステイなどの報酬を加算しましたが、その結果、利用者が負担する1~3割の利用料も引き上がる事態となりました。サービスの内容は変わらないのに利用料が跳ね上がり、コロナ禍で苦しむ利用者・家族に追い打ちがかけられる事態に、憤りの声が上がっています。

 日本共産党は、介護の基盤と、利用者・従事者の命と暮らしをコロナ危機から守るため、国による緊急の支援策を進めます。

―――利用抑制や支出増に苦しむ介護事業所に、減収補填を行います。

―――感染防護具の支給や施設の改修など、介護現場における感染拡大防止の取り組みを国が支援します。

―――介護事業所の職員・利用者・関係者に、国の責任でPCR等の検査を実施します。

―――介護職員の緊急的な処遇改善、そのための介護報酬の引き上げを行うとともに、それを利用料・保険料に跳ね返らせないため、公費を投入します。政府が行った利用料の負担増については、ただちに公費で補填する措置をとります。

ケアを支える政治へ―――社会保障費削減路線を転換し、公的介護制度を立て直します

 コロナ危機によって露呈した介護の基盤のもろさは、長年にわたる社会保障費削減路線のなかで形作られました。

 2000年度にスタートした介護保険制度は、今年、制度開始22年目となりますが、その期間はちょうど、自公政権による社会保障費削減路線の20年と重なってしまいました。

 自公政権は、社会保障予算の自然増を、毎年、数値目標を決めて削減する政治を続けています。そのなかで、介護の分野では、介護報酬の連続削減、1割負担の利用料の2割・3割への引き上げ、介護施設の食費・居住費の負担増、要支援1・2の訪問・通所介護の保険給付外し、要介護1・2の特養入所からの締め出しなど、介護現場の苦難に拍車をかけ、利用者・家族の負担を増やし、介護サービスを受けにくくする制度改悪が連打されてきました。これでは、介護の基盤が脆弱になるのは当然です。

 家族の介護のために仕事をやめる「介護離職」は年間10万人にのぼり、介護をめぐる問題は、高齢者はもちろん現役世代にとって重大な不安要因となっています。

 高齢者の貧困・孤立が進行するなか、65歳以上の「孤立死・孤独死」は年間2万人にのぼると推計され、介護を苦にした殺人・殺人未遂が1週間に1件のペースで起こる状況も続いています。

 コロナ危機は、介護・医療・福祉など人間の命を守るケアの重要性を明らかにし、それを粗末に扱う政治がいかに有害であるかを浮き彫りにしました。

 日本共産党は、「自助・自己責任」や「小さな政府」の名で社会保障を切り捨てる新自由主義の政治を終わらせ、ケアを支える政治へ転換します。自公政権が進める介護切り捨ての改悪を中止・撤回し、現役世代も高齢者も安心できる公的介護制度にするための改革を推進します。

介護・福祉労働者の労働条件を改善し、介護の基盤を強化します

 介護人材の不足が、公的介護制度の存廃を脅かす重大問題となっています。

 2020年、「介護保険20年」際して「読売新聞」が行った自治体向けアンケートに、9割の当局が、介護保険制度を現行のまま維持するには「困難」と回答しましたが、その理由の1位は「人材や事業所の不足」(74%)でした。

 介護現場では、若い職員の離職や志望者の減少が続き、深刻な人手不足が起こっています。ホームヘルパーの年齢構成は60歳代以上が4割を占め、80歳代のヘルパーが現場の重要な戦力となる一方、20歳代のヘルパーは全体の4%に過ぎません。ケアマネジャーの資格試験の受験者は激減し、合格者は最高時の10分の1以下に減っています。

 こうした事態を引き起こしてきた最大の要因は、介護従事者の過酷な労働環境と低処遇です。介護職の平均給与は全産業平均より「月10万円低い」とされる状況が長らく続いています。現場では長時間・過密労働が蔓延し、「福祉の初心」を生かせない劣悪な労働環境も放置されてきました。雇用形態も、ヘルパーでは、低処遇の非正規労働が主流です。

 日本共産党は、介護・福祉・保育職員の賃金を国の責任で引き上げ、配置基準の見直し、雇用の正規化、長時間労働の是正など、労働条件を改善します。

―――保険料・利用料に連動させることなく、介護・福祉労働者の賃金アップを図るため、国費による賃金引き上げの仕組みを創設します。

―――自公政権によって削減されてきた、介護報酬の増額・底上げを推進します。それが、国民や利用者の負担増とならないよう、国庫負担割合の引き上げ、保険料・利用料の減免にも同時に取り組みます。

―――介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理や法令順守を図り、正規化・常勤化の流れをつくります。サービス残業の根絶、長時間労働の是正をすすめます。

―――介護職の人員配置基準を改善します。特別養護老人ホームや老人保健施設の職員配置基準を現行の「3対1」から「2対1」に引き上げる、夜間の訪問介護を安心して働ける「2人体制」にする―――などの改善をすすめます。

―――施設や事業所の職員確保、人員配置に対する公的助成制度をつくり、労働環境の改善を支援します。

 自公政権も、この間、「介護人材の確保」を強調していますが、その内容は、「元気高齢者の介護事業への参入促進」「ボランティアの組織」「外国人介護人材の受入環境の整備」など、ボランティア・無資格者・外国人を安く使って人材不足を補うというものです。

 こうしたやり方は、介護の質や利用者の尊厳を守ることに逆行し、“安上がりの労働力”の拡大で、介護労働者の処遇改善の足を引っ張るものです。

 介護労働の専門性を確保し、介護職の社会的地位の向上、それを正当に評価する処遇改善がはかられてこそ、介護分野への入職意欲も高まり、人材確保も前進します。

 介護の質を担保する規制を弱め、介護職の低賃金や劣悪な労働条件を放置しながら“安上がりな労働力”に置き換えていく改悪に反対します。

特養ホームの待機者をゼロに―――国策転換で「介護難民」を解消します

 特別養護老人ホームへの入所を待つ待機者は、2014年時点で52万人、自公政権の改悪によって「要介護1・2」が対象から除外された後の2019年時点で29万人にのぼります。

 特養待機者が膨大な数にのぼる背景には、“高齢世代の貧困”があります。低年金・低所得の人が要介護状態になったとき、最期まで入居できる施設は特養ホームしかありません。

 ところが、政府は、社会保障費抑制のために特養ホームの増設を抑え、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など“低所得者には利用できない施設”の整備ばかり応援してきました。その一方で、病院からの“高齢者追い出し”を推進してきました。

 そうしたなか、行き場を失った高齢者が脱法施設を利用したり、ホームレス用の宿泊施設を転々としたりするなど、メディアが「介護難民」「老人漂流社会」と呼ぶ状況も広がっています。こうした事態を解決するには、特養ホームの抜本的増設に舵を切るしかありません。

 日本共産党は、「介護難民」を解消するため、特養ホームなど介護施設の抜本的な増設に転換します。

―――国として待機者解消の計画を策定し、特養ホームの抜本的増設を図ります。廃止された特養建設への国庫補助を復活させ、都市部での用地取得を支援するなど、「待機者ゼロ」の実現に向けて、あらゆる施策を動員します。

―――自公政権が強行した「要介護1・2」を特養入所から締め出す改悪をやめさせます。

―――「介護難民」増加の引き金となっている、病院や老人保健施設からの“追い出し”政策を中止します。強引な退院や、老健施設の早期退所を誘導・促進する、診療報酬・介護報酬のあり方を抜本的に見直し、「漂流高齢者」を生まない仕組みに改善します。

―――小規模多機能型施設、グループホーム、宅老所などの多様な施設についても、基盤整備を進め、食費や居住費への公的補助など、低所得者が利用できるよう改善を進めます。

サービスとりあげ中止―――「必要な介護が保障される制度」に

 介護保険制度は21年前に「社会で支える介護」をかかげて導入されましたが、実際には、要介護度に応じてサービス内容や支給額が制限されるなど、スタート当初から「保険あって介護なし」と言われてきました。さらに、自公政権の社会保障費削減路線のもと、サービス取り上げや負担増の改悪が繰り返され、「介護保険だけで在宅生活を維持できない」状況はますます深刻化しています。給付削減の改悪は、利用者・家族を苦しめるとともに、国民の不信を高め、制度の存立基盤を危うくするだけです。

 2015年には、かつて介護保険の創設を主導した元厚生労働省幹部が、このままでは介護保険は「国家的詐欺」の制度になると発言し、関係者に衝撃を与えました。

 利用者からサービスを取り上げる改悪や機械的な利用制限の仕組みを撤廃し、介護保険を「必要な介護が保障される制度」へと改革します。

―――「要支援1・2」の訪問・通所介護を保険給付から外して自治体の「総合事業」に置きかえた、2014年の制度改悪を撤回し、保険給付に戻します。

―――政府が検討する、「要介護1・2」の在宅サービスの保険給付外しをやめさせます。要介護者を「総合事業」の対象に加えた厚労省令改定(2021年4月実施)を見直します。

―――軽度者に対する訪問・通所介護や福祉用具の厳しい利用制限をあらためます。生活援助の基準時間の「60分」から「45分」への短縮など、この間、続けられてきた在宅サービス切り捨ての改変を抜本的に見直します。

―――「給付適正化」の名を借りて国と自治体が進める利用抑制、国の基準にてらしても行き過ぎた、自治体の「ローカル・ルール」による給付制限を是正します。

利用料・保険料の減免制度をつくります

 高齢者のサービス利用をはばむハードルとなっているのが自己負担の重さです。

 ところが、自公政権は、制度スタート以来、1割とされてきた利用料負担を、2割(対象=単身で年金収入280万円以上)、3割(対象=年収340万円)に引き上げる改悪を連続的に強行しました(2015年、2018年)。

 また、所得が低い施設利用者の食費・居住費を軽減する「補足給付」についても、①世帯分離している配偶者が住民税課税、②預貯金1,000万円以上、③非課税年金(障害年金、遺族年金)の受給者―――などに該当する人は、給付を打ち切り、負担増を強いるという改悪を強行しました(2015~16年)。さらに、上記②については、今年8月、コロナ危機のどさくさに紛れるようにしながら、預貯金の要件を500万円に引き下げ、より多くの低所得者に食費・居住費の負担増を押しつける“再度の改悪”を実行しました。

 日本共産党は、利用者負担増の改悪をやめさせ、利用料の軽減・免除を進めます。

―――この間、自公政権が強行してきた2割・3割負担の導入、補足給付の対象限定などの改悪を中止・撤回します。

―――住民税非課税など低所得者の利用料を免除する国の制度をつくり、経済的な理由で介護を受けられない人をなくします。

―――施設の食費・居住費の軽減をすすめ、自己負担から保険給付へと戻していきます。

 高齢者の3人に2人は住民税非課税であり、多くが「年金天引き」で徴収されている65歳以上の介護保険料の負担が、生活圧迫の大きな要因となっています。高齢者本人や家族の貧困が深刻化するなか、保険料が「天引き」の対象とならない「年金=月1.5万円以下」の人の保険料滞納が急増しています。

―――介護保険料の、国として実効性のある免除制度をつくります。

―――国保料(税)や後期高齢者医療保険料に比べても過酷な、介護保険料の滞納に対するペナルティを見直します。

国庫負担引き上げで安心できる介護制度に

 現行の介護保険は、サービスの利用が増えたり、介護職の労働条件を改善したりすれば、ただちに保険料・利用料の負担増に跳ね返るという根本矛盾をかかえています。

 保険料・利用料の高騰を抑えながら、制度の充実や基盤の拡充を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。

 自民党と公明党は、消費税増税の実施前、“増税で財源を得られたら1兆円の国費を投入し、介護保険の公費負担割合を現行の50%から60%に引き上げる”と主張していましたが、増税が決まったとたん、その公約は反故にされました。

 日本共産党は、介護保険の国庫負担割合(現在は、在宅=25%、施設=20%)をただちに10%引き上げ、将来的には、国庫負担50%(公費負担75%)に引き上げることを提案しています。その財源は、国民生活にも日本経済にも大打撃となる消費税ではなく、①富裕層や大企業への優遇をあらためる税制改革、②国民の所得を増やす経済改革―――という「消費税とは別の道」で確保します。

 公的介護制度への国庫負担を引き上げながら、▽65歳以上の介護保険料を、全国単一の定率制にあらためる、▽要介護認定や利用限度額などの仕組みを撤廃して、現場の専門家の判断で適正な介護を提供する仕組みに転換する―――など、制度の根本的改革をすすめていきます。

現行制度の不合理をただし、介護保険・介護報酬の改善を進めます

 現行の介護制度にある、さまざまな不合理をただし、改善を進めます。

 たん吸引、経管栄養などの医療行為が、介護職の業務として解禁されましたが、現場からは、患者の安全への不安や介護職の負担などを懸念する声が出ています。再検討・見直しを求めます。

 ヘルパーの生活援助の時間短縮、「7時間以下」のデイサービスへの報酬削減、特養ホームの多床室やベッドの回転が遅い老健施設の報酬削減など、この間、繰り返されてきた、サービス利用制限のための報酬改悪を見直します。

 政府が検討するケアプランの有料化に反対します。高齢者の身近な相談相手・専門家としてケアマネジャーの育成を進め、介護報酬での評価や研修の保障などを行います。

 介護報酬の制限などにより、介護施設では医療が十分に提供できず、医療的な対応が必要な高齢者が、特養ホームやショートステイを利用できない事態が問題となっています。介護施設でも、医療行為については医療保険の適用を認めるなど、どこでも必要な医療と介護が受けられるように改善します。介護従事者が医療制度について知識を持つための研修や、高齢者の退院時におけるケアマネジャーの相談などを介護報酬で評価し、医療・介護の円滑な連携を推進します。

 いわゆる「院内介助」の規制が、自費サービスなどを生み、高齢者の医療を受ける機会を阻害しています。医療機関内での介助は「院内のスタッフにより対応されるべき」という国の通知を撤回させ、必要ならば、利用者の受診時に介護職が医師の指示を一緒に聴くことなどを含め、要介護者の通院介助を保障するようにあらためます。

 現行の地域計数と人件費率をかけあわせる介護報酬の算出式は、とくに大都市部で、物価や賃金の水準からかけ離れたものになっています。地域の物価や賃金水準を反映した介護報酬にあらため、中山間地でも大都市部でも安心して介護が提供できるようにします。

 “儲け本位”の営利企業による不正の発覚と廃業で、利用者が犠牲となる事態も起こっています。問題が起きた後に事業者を処分するだけの「事後規制」の仕組みをあらため、適切な介護を提供できるかを事前に審査する「事前規制」に、参入規制の在り方を転換します。

 すべての高齢者施設に義務づけられている、スプリンクラーなど初期消火設備、自動火災報知装置の設置が確実に実行できるよう、国の補助を拡充します。「そもそも火事を起こさない」「緊急時には入所者をすみやかに避難させられる」など、高齢者施設の安全の確保に向け、夜間の職員配置の改善などを進めます。

 利用者と介護事業者に手間と困難を押しつけ、介護現場の矛盾を広げる、マイナンバーの使用の押しつけに反対します。

貧困・病気・孤立など高齢者の困難を解決する福祉・医療体制を構築します

 「介護の危機」を打開するには、介護保険制度の改善にとどまらず、さまざまな制度・施策を総動員することが必要です。

 政府・厚労省はこの間、「身近な地域で、住まいを基本に、医療や介護、生活支援サービス、介護予防が切れ目なく提供される体制」をめざす、「地域包括ケア」の構想をかかげていますが、その看板のもとで自公政権が可決した「医療・介護総合法」「地域包括ケア強化法」は、いずれも、公的給付の対象を限定し、利用者に負担増を押しつけ、サービスを後退させる改悪法でした。

 給付費削減を前提にした「連携」「再編」では、介護をめぐる危機は解決されず、逆に、矛盾が深まるだけです。高齢化のピークに備えるというなら、医療・介護は「自然増削減」ではなく、抜本的拡充が必要です。

 日本共産党は、介護・福祉・医療の拡充と連携を国の責任で推進し、地域全体で高齢者を支えられる体制づくりをすすめます。

自治体の高齢者福祉(措置福祉)を立て直します

 虐待、貧困、社会的孤立など「処遇困難」の高齢者の救済は本来、老人福祉法にもとづく自治体の仕事ですが、介護保険導入後、多くの自治体で、福祉事務所や保健所が担っていた高齢者福祉は縮小され、“介護保険任せ”にされてきました。福祉職員の削減、保健所の統廃合、養護老人ホーム運営費の一般財源化など、国の制度改変もそれに拍車をかけています。

 貧困が日本社会を覆い、生活・病気・家族関係など複雑な問題をかかえた高齢者が急増するなか、自治体の「措置控え」がメディアでも問題視され、厚労省も「指導」せざるを得ない状況となっています。今こそ自治体の福祉・保健の再生が必要です。

―――自治体の福祉職を増員し、介護保険や民間では対応しきれない困難をかかえた人を自治体が直接救済して、支援や介護を提供する体制を再構築します。

―――地域の高齢者の実情をつかむ拠点として、地域包括支援センターを老人福祉法に位置づけ直し、国の責任で人員・体制の構築を図ります。

―――“立ち枯れ状態”になっている各地の養護老人ホームに国庫補助を行い、機能を回復・拡充させます。

高齢者の「住まいの人権」を保障します

 高齢者への住まいの保障は、「孤立高齢者」「漂流高齢者」をつくらないうえで、きわめて重要です。

―――日常生活は自立しているが体調に不安がある高齢者を低廉な費用で住まわせる「軽費老人ホーム(ケアハウス)」を増設します。

―――低所得者・高齢者・障害者などが住み慣れた町でくらせるよう、国と自治体の責任で住宅整備・家賃補助を実施する「地域優良賃貸住宅」の活用・拡充を進めます。

公的保障の肩代わりではなく、地域福祉の本来の役割発揮を応援します

 「独居老人」や「老老介護世帯」が急増するなか、ボランティアや民生委員による訪問活動、自治会による行事や交流、社会福祉協議会による様々な支援活動が、高齢者に張りあいを与え、孤立を防ぐ貴重な役割を果たしています。

 ところが、自公政権はこの間、介護保険の給付や自治体の福祉を後退させながら、それを、地域のボランティア、自治会、社会福祉協議会などの支援に置き換える、制度改変を進めています。

 高齢者を支えるボランティアやNPO、民生委員や自治会、社会福祉協議会などは、もともと、慢性的な予算・人手の不足、担い手の高齢化、後継者の不在などに悩まされてきました。そこに過重な負担を押しつけることは、新たな疲弊の要因となりかねません。実際、一部の自治体では、老人会が、行政の指示で要支援者向けのサービスを担わされることに伴い、これまで取り組んできた誕生会などの年中行事に取り組めなくなるなどの、“本末転倒”が起こっています。

 日本共産党は、地域の高齢者を支える自主的な組織に、公的介護や自治体福祉が担うべき業務を“肩代わり”させる改悪に反対します。それらの多様な実施主体を、地域のコミュニティを支える社会的資源と位置づけ、本来の役割発揮を応援し、連携の促進、財政的な支援、後継者づくりへの協力などを推進します。

医療・介護の連携を進めます

 「介護難民」増大の引き金となっている、病床削減・患者追い出し政策を中止し、すべての患者に必要な医療・介護を保障する体制を確立します。

 介護保険と医療保険の“併給禁止”のルールが現実にあわず、必要なケアが受けられない問題などの改善をすすめます。

 介護型療養病床の転換先となる「介護医療院」を、新たな“病床削減の受け皿”とはさせず、医療的ケアを必要とする要介護者を支える機能・役割を守るよう求めます。

 在宅医療を担う診療所や訪問看護に対する報酬を改善し、在宅生活を支える拠点として公的支援を強めます。

 24時間体制の「定期巡回・随時対応訪問介護看護サービス」の普及にむけ、報酬の改善や人員体制への支援を行います。

認知症対策を促進します

 認知症の高齢者は462万人とされ、軽度認知障害のある人も400万人いると推計されています。高齢者の3~4人に1人は認知症か、軽度認知障害という状況です。ところが、現行の介護保険では利用できるサービスに限度があり、“認知症のお世話はもっぱら家族任せ”という高齢者が膨大な数にのぼっています。

 認知症の高齢者に対応する公的介護サービス・介護基盤を大幅に拡充するとともに、認知症の早期の発見・診断、初期の相談と家族への支援から、終末期のケア・看取りまで、切れ目なく治療と支援を行う、医療・保健・福祉の連携体制の構築を進めます。

 精神病院に長期入院している認知症の人が、地域で暮らせるよう、安価に利用できるグループホームの確保や介護施設の計画的増設などの基盤整備を進め、在宅復帰を促せるようにしていきます。

 政府は、2019年5月に提示した「認知症対策大綱」で、従来の「共生」に加え、認知症の「予防」を方針の中心に位置づけました。

 国が、認知症の「予防」を強調することには、「認知症対策を『自己責任』に矮小化し、高齢者・家族にプレッシャーを与えかねない」、「認知症を発症する人を『予防を怠った人』とみなし、攻撃・差別する風潮を生みかねない」、「『認知症予防』を看板にした、商品や民間サービスの営利拡大に利用されかねない」―――などの懸念が、関係者・有識者から噴出しました。政府が当初、同「大綱」に、認知症の有病率を減らす「数値目標」を盛り込もうとしたことにも、大きな批判の声が上がりました。

 「予防」の名で高齢者・家族を追いつめ、認知症対策の後退や介護・福祉制度の改悪へとつなげる動きに断固反対します。認知症の人や家族への差別と偏見を許さず、「認知症になっても安心して暮らせる地域づくり」をすすめる立場で、施策の拡充をはかります。

 認知症対策に真っ向から反する、“要支援者切り”や“軽度者切り”など、介護とりあげの制度改悪に反対します。

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