25、受動喫煙対策
望まない受動喫煙の全面禁止を実行します
2021年10月
受動喫煙を受けている人が肺がんになるリスクは、受けていない人の1.3倍です。同様の罹患リスクは虚血性心疾患で1.2倍、脳卒中で1.3倍、乳幼児突然死症候群(SIDS)で4.7倍とされており、受動喫煙を原因とする国内の死亡者は毎年1.5万人、交通事故死の4倍にのぼるとされています(国立がん研究センター発表)。
WHO(世界保健機関)の「たばこ規制枠組条約(FCTC)」にもとづき、世界186カ国のうち50カ国以上で、8種類(※)の「公衆の集まる場所(public places)」のすべての、屋内全面禁煙を義務づける法規制が整備されています。
(※)WHOが屋内全面禁煙を求める「公衆の集まる場所」――①医療施設、②学校、③大学、④行政機関、⑤事業所、⑥飲食店、⑦バー、⑧公共交通機関
政府は、公共施設などの屋内禁煙を盛り込んだ「健康増進法改正案」を提出し、2018年7月に可決されましたが、その内容は、▽学校・病院・児童福祉施設などの第一種施設でも、屋外なら条件付きで敷地内喫煙を可能とする、▽事務所・工場・ホテル・飲食店・鉄道などの第二種施設においては、喫煙専用室を設ければ屋内喫煙を可能とする、▽経営規模の小さい既存の飲食店(店舗面積100㎡以下)は、「経過措置」の名で店内喫煙を可能とする、▽加熱式たばこについては、店内の専用室で、食事やパチンコをしながらの喫煙を認める、▽学校通学路やスタジアム等を含め、屋外の喫煙は規制しない――など、本来求められている禁止措置や国際的な到達点からすれば、抜け穴だらけの立ち遅れたものとなりました。
学校ではすでに9割以上が、敷地内完全禁煙となっており、第一種施設で敷地内喫煙を認めることに合理性はありません。
第二種施設に喫煙専用室を設けても、受動喫煙のおそれはなくなりません。子ども、がん患者、ぜんそく患者などを受動喫煙から守るには、経営規模にかかわらず、飲食店の全面禁煙は当然の措置です。飲食店の全面禁煙については、「客足が落ちる」ことへの懸念も出されていますが、WHOが実施した国際調査は、レストランやバーを法律で全面禁煙としても減収はないと結論づけています。
加熱式たばこも、主流煙にニコチンなど健康に被害を与える物質が含まれ、それを吐き出す呼出煙には有害物質は含まれます。政府は、加熱式たばこの規制を緩めるのは健康への影響が明らかになるまでの当分の措置だといいますが、受動喫煙から健康被害が生じるまでには20~30年程度の期間がかかります。健康被害が明らかになってからでは遅すぎます。たばこ業界のなかに、加熱式たばこに軸足を移し、製造・販売を加速する動きが出ていることも無視できません。加熱式たばこも、通常のたばこと同等に規制をするべきです。
日本共産党は、受動喫煙をなくし、非喫煙者の健康をまもるための法改正をすすめます。
学校・医療機関・児童福祉施設などの敷地内全面禁煙、公衆が集まる場所の屋内全面禁煙へと規制を強化します。加熱式たばこも、通常のたばこと区別のない措置をとります。
たばこのパッケージの警告表示に、健康被害に係る画像表示を義務づけるなど、啓発活動を強化します。
「たばこ製品の陳列自体が、宣伝と販売促進にあたる」「若者が特に影響されやすい」と規定したFCTC第13条の趣旨に則り、たばこの陳列・広告への規制を実行します。
通学路、公園、運動施設、マンション共有部分、自宅やマイカーを含め、受動喫煙から子どもたちを守るための規制を推進します。
たばこの需要減少や年少者の喫煙防止をはかるため、たばこの価格・課税率を引き上げます。たばこ税の税収を、たばこの害から健康を守る施策に充てていきます。
飲食店の全面禁煙を徹底するため、必要な表示・広報に公的支援を行います。