47、放送と表現の自由
放送への権力の介入を許しません。放送における「言論、表現の自由」を徹底し、政府から独立した監督機関を設置します
2021年10月
放送事業者の自主・自律の確立は、「放送の自由」に不可欠です
安倍・菅政権のもとで、権力による放送事業への威圧・介入が強められてきたことは重大です。日本共産党は、憲法21条と放送法に基づき放送における「言論、表現の自由」を守り徹底します。
放送法は、戦前、ラジオ放送が、政府に統制され、事実に基づかない政府に都合の良い放送を繰り返して、国民を悲惨な戦争へと動員する役割を担ってしまったという痛苦の反省の下、言論・報道、表現の自由を保障する憲法21条に基づき定められたもので、放送番組の編集は「何人からも干渉され、又は規制されることがない」(第3条)と定めています。放送番組の適性は、放送事業者の自主自律によって図られるべきもので、政府による放送事業への威圧・介入、ましてや番組内容へ介入することなどは絶対に許されません。
日本共産党は、こうした立場から、放送番組を編集・作成する事業者に対する認定制度等を導入する放送法の改悪などに反対してきました。また、安倍政権のもとで高市総務大臣(当時)が、政府が「政治的公平に反する」と判断した放送局には停波を命じることができると発言し、菅政権のもとでは首相自身がNHKの受信料値下げに言及するなど、権力による放送への介入につながる危険な姿勢を厳しく追及してきました。
また、菅政権のもとで発覚した「東北新社」による総務省接待問題は、衛星放送の許認可や放送事業者の外資規制違反などをめぐって放送行政がゆがめられていた疑惑を明るみにしました。放送事業をめぐる政官業の癒着構造の徹底究明を求めます。
東北新社の外資規制違反(2017年当時)に対し、総務大臣は今年(2021年)、放送事業者の免許取り消し処分をおこないました。一方で他の違反事業者に対しては免許を取り消さないケースもありました。放送免許取り消しは、重大な事案であり、行政の公平性、監督のあり方が問われる事態となっています。
日本は、放送事業者に対する免許付与をはじめ、監督を政府(総務省)が行っています。しかし、世界各国では、放送における言論、表現の自由を徹底する観点から、政権が放送に介入しないよう第三者機関に委ねられています。
日本共産党は、政府から放送行政の監督を切り離し、新たに「放送委員会」(独立行政委員会)を設置するように制度改正を求めます。
NHKが公共放送としての役割を果たすことを求めます
NHK(日本放送協会)の番組への介入への対応は、放送法の根幹を脅かす重大問題です。NHKは、かんぽ生命の不正販売問題を取り上げた番組について日本郵政の副社長から抗議をうけ、続編番組の放送を延期するなどの対応をしていました。しかも、NHK経営委員会は、放送法に反し、番組編集にふみこんでNHKに意見し、NHK会長を厳重注意しました。さらに、厳重注意という重大な問題の議事内容を議事録に載せず、隠ぺいしていました。
この事態が放送番組の編集は「何人からも干渉され、又は規制されることがない」とした放送法第3条に違反することは明らかです。放送事業者の自主自律をふみにじり、番組内容に介入することは絶対に許されません。
NHKの使命は、全国あまねく、豊かで良い番組を提供することです。NHKの放送事業は放送法に定められ、財源は国民・視聴者からの受信料によって支えられています。受信料は財政面から公共放送としてのNHKの自主自律、放送の不偏不党を保障するものです。この制度の維持には国民の理解が欠かせません。
この間、NHKは、受信契約拡大のために強引な営業をする法人にまかせたり、法的な手段を使って解決したりする件数を増やし、受信料収入を増やしてきました。こうしたやり方を見直して、NHK自らが公共放送としての役割を国民に知らせ、その理解を広げていく努力を強めていくことが求められています。
2021年の通常国会に菅政権が提出した放送法改定案(未成立)は、政府が関与してNHKの受信契約や経営の在り方を変えていくことに手をつけるもので、看過できません。
日本共産党は、放送法の本来の主旨にたちかえり、NHKが自主自律を確立し公共放送としての役割を果たすよう、国民・視聴者とともにその在り方をただしていきます。