2011年11月4日(金)
核兵器禁止条約交渉開始を
国連総会第1委が決議 賛成国増える
国連総会で軍縮・国際安全保障問題を扱う第1委員会は10月26〜31日、52の決議を採択しました。このうちマレーシアなどが提出した核兵器禁止条約の交渉開始を求めた決議は、昨年より6カ国増の127カ国の賛成で採択されました。 (ニューヨーク=田中一郎)
「核兵器合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」と題した決議で、マレーシアなど非同盟諸国が中心になって提案しました。反対は25、棄権は22でした。
「多国間交渉を」
同決議は、核兵器は「人類と地球上のすべての生物にとっての脅威」とし、核兵器の惨事から守る唯一の方法は「核兵器の廃絶だ」と強調。「核兵器の開発、生産、実験、配備、備蓄、移送、威嚇、使用を禁止する核兵器条約の早期締結につながる多国間交渉の開始」を求めています。
マレーシアは1996年以来毎年、同決議を提出しています。討論で同国代表は、核兵器廃絶の前進のために「多国間交渉開始の合意が求められている」と強調。関係各国にその意志を示すよう迫りました。
「核軍縮」も採択
ミャンマーなど37カ国が提出した決議「核軍縮」も、賛成113、反対44、棄権18で採択されました。
同決議は「核兵器のない世界の実現の条件は存在している」として、その目的達成に向けた具体的で実質的な措置をとる必要性を強調。非同盟運動が、できるだけ早く核兵器廃絶のための道筋と手段を決める国際会議の開催を求めていることにも触れています。
このほか討論ではウクライナの代表が「核兵器廃絶だけが、核兵器が二度と使われないことを保証する」とし、それに踏み出す実質的な措置こそ今、求められていると力説しました。
アルゼンチンの代表は、核不拡散といった問題も「核保有国が核廃絶に合意しさえすれば、迅速に解決が見いだせる」とし、保有国に行動を迫りました。
米国の代表は将来、ロシアとの間で戦略核か非戦略核かを問わず、あらゆる種類の核兵器の削減をはかる合意を目指す考えを示しました。
日本は昨年に引き続き「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」決議を提出、採択されました。同決議は核保有国に「究極的には、あらゆる種類の核兵器を廃絶する」よう努力を求めていますが、核兵器禁止条約の交渉開始には触れていません。
日本は、交渉開始を求めたマレーシア提出の決議にも、ミャンマー提出の決議にも棄権しました。