2011年11月8日(火)
来年にも牛肉輸入緩和
厚労省検討 食の安全より米国優先
生後30カ月以下に
BSE(牛海綿状脳症)対策として行っている牛肉の輸入規制について、政府は見直し作業に入りました。生後20カ月以下の牛の肉に限定している米国などからの輸入を、来年中に30カ月以下に広げることを検討します。食の安全よりも米国からの規制緩和の圧力にそうもので、日本国内から反発が強まるのは必至です。
厚生労働省は10月31日の薬事・食品衛生審議会で、BSEの世界的な減少を受け、「科学的知見に基づき規制を見直す」と報告。年内にも内閣府食品安全委員会に諮問し、規制緩和の要求が寄せられている米国、カナダ、フランス、オランダ産の牛肉を中心に議論を進めます。
米国産牛肉は、2003年に感染牛が見つかって輸入禁止となりました。ところが、米国の圧力を受けた日本政府は05年、国内の反対を押し切り、月齢20カ月以下で危険部位を取り除いた牛肉の輸入を認めました。今回の緩和はそれを月齢30カ月まで拡大するもの。
米国はBSEの全頭検査をしていません。また、せき髄や脳などの特定危険部位が飼料として流通し、その対策が遅れている問題も指摘されるなど、安全とはいえないのが現状です。
米国はBSE規制の緩和要求を強め、9月に行われたオバマ大統領と野田佳彦首相との首脳会談でも日本側に圧力をかけていました。