2011年11月10日(木)
広島・長崎原爆 「黒い雨」データ1万3000件あった
厚労相に公開を要望 長崎県保険医協会
放影研が保管
長崎県保険医協会(千々岩秀夫会長)は8日、日米共同の研究機関「放射線影響研究所」(放影研)が広島・長崎の原爆で放射性物質を含んだ「黒い雨」の人体影響に関する約1万3000件のデータを保管していることが分かったと発表しました。
データの存在を示しているのは、県保険医協会が9月に入手した「オークリッジレポート」。原爆傷害調査委員会(ABCC)の調査員と米国のオークリッジ国立研究所の研究員が1972年にまとめた報告書です。「黒い雨」を浴びたことで発熱、下痢、脱毛などの被爆後の急性症状が高率で認められたことを示しています。データは、広島・長崎で被爆した約12万人を対象に健康状態などを1950年代に聞き取り調査。「原爆直後、雨に遭いましたか」の質問に約1万3000人が「はい」と回答しています。
県保険医協会は同日、小宮山洋子厚労相にデータの分析と情報公開を求める要望書を提出。データの存在は「黒い雨による人体影響はない」とする定説を覆す可能性があり、県保険医協会の本田孝也副会長は「福島の原発事故で低線量被ばくと内部被ばくは国民の関心事。放射性降下物の人体影響を探る上で貴重なデータなので、ぜひ公開してほしい」と訴えました。