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2011年11月10日(木)

全て自由化の対象

丸ごと米国いいなり TPP “国益”を壊す

衆院予算委 笠井議員の基本的質疑

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 9日の衆院予算委員会で、環太平洋連携協定(TPP)参加問題を取り上げた日本共産党の笠井亮衆院議員。すべてが自由化の対象とされ、国民生活と日本の将来を根底から壊す問題点が浮かび上がりました。


写真

(写真)質問する笠井亮衆院議員=9日、衆院予算委員会

復興

被災地「最大の妨げ」

 笠井氏は、TPPの問題としてまず、「復興への最大の妨げとなる」というのが被災地の声だと紹介。「復興の足かせになる」(福島県議会)など44道府県議会が「参加すべきでない」「慎重に検討すべき」との意見書をあげるなど、全国の市町村に参加反対の声が広がっていることを示し、こうただしました。

 笠井 被災地は、農地を復旧してもTPPによる米価暴落でつぶされてしまう、としている。この痛切な声を真剣に受け止めているのか。

 野田佳彦首相 説明責任は果たしていきたい。議論が熟した段階では一定の結論を出すことが必要だ。

 笠井氏は「議論は熟していない。国民的不安と怒りが広がっている」と批判しました。

図

対日輸出

事実上の日米FTA

首相 GDPでみるとそうなる

 笠井氏は、TPP参加で「アジアの成長力を取り込む」とされていることに対し、アメリカの対日輸出戦略に取り込まれるだけだと指摘しました。

 米国などTPP交渉参加9カ国と日本の国内総生産(GDP)の合計をみると、日米で91%を占めます。

 「事実上日本とアメリカのFTA、自由貿易協定ではないのか」と笠井氏がただすと、野田首相は「GDPでいえばそういうことになる」と認めた上で、「国益を踏まえて交渉する」とのべました。

 笠井氏が「(皆保険など『国益』を)守ります守りますというなら、一覧表を出すのか」と迫ると、玄葉氏は「自由化交渉のテーブルにすべてまずのせるのが原則だ」としか答えられません。

 笠井氏は、アメリカは長引く不況や金融危機のもとで、TPP参加で日本を輸出戦略に取り込もうとあせっていると指摘。「いったん交渉参加を表明したら、次々と対日要求を突きつけられる。本当に国益を考えるなら、こんな道をとるべきではない」と批判しました。

対日要求

笠井「のまないと入れない」

玄葉「可能性はある」

 笠井氏はTPP参加には、参加国の同意が必要であり、米国の要求をのまされることになるとただしました。

 米国議会の同意を得るには、日本がまず米政府と事前協議を行い、米政府と議会の協議をへて、参加通知後さらに最低でも90日間の協議が必要になります。笠井氏は米政府が毎年、対日要求報告書で貿易制限撤廃を求めていることをあげてただしました。

 笠井 米側は交渉に参加したいなら、対日要求を受け入れよと迫ってくるのではないか。

 玄葉光一郎外相 2国間の懸案事項の対応が求められる可能性はある。その場合、個別に対応する。

 笠井氏は「2国間の交渉と言うが、日本は米国から承認してもらう側だ。交渉は対等・平等にならない」と批判しました。

食の安全

表示義務撤廃の危険

 笠井氏は、米国が約60項目にのぼる貿易制限撤廃を求めており、食の安全では遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃などが求められていることをあげました。

 笠井 製造年月日表示だって米国の要求で消費期限、賞味期限の表示に変えた。遺伝子組み換え表示が消えて、「食の安全・安心」が保障できるか。

 小宮山洋子厚労相 食品の安全措置の変更を一方的に求められることは考えられない。

 まともに答えられない政府に、笠井氏は外務省が文書で「問題が生じる可能性がある」と認めていることを突きつけ、「食の安全」が脅かされると強調しました。

公的医療

国民皆保険壊される

 医療分野ではどうか。笠井氏は米国が日本の医療への参入を求めていることを指摘。外務省資料では「混合診療の全面解禁が議論される可能性は排除されない」と認めていることをあげ、「医療が対象にならない保証があるのか」とただしました。外相が「現時点では議論されていない」とごまかしたのに対し、笠井氏は「日本が入れば議論の対象になる可能性が大いにある。必要な医療はすべて(公的)保険で行う皆保険制度が壊される」と指摘しました。

食料自給率

外国頼みでいいのか

 笠井氏は、TPP参加は「安定的な食料供給を土台から崩す」と指摘。「店頭から国産豚肉が消える」との意見広告にふれ、国産豚の70%が輸入に置き換わるなど、関税ゼロで食料自給率は39%から13%に低下することを示してただしました。

 笠井 農林水産業と関連産業を含め生産額は8・4兆円、雇用は340万人減少する。農林水産業に大打撃を与えるのは明らかだ。

 鹿野道彦農水相 交渉に参加するかしないかにかかわらず、食料の安定供給が責務だ。

 笠井 自由化で牛肉、オレンジ、米と、バケツに穴を開けて、自給率がどんどん低下してきた。

 笠井氏は、政府が具体的に何を守るかいっさい言わないことをあげ、「自国の農業と食料生産をつぶし、外国に頼る国にしていいのか」と強調しました。

図

国民的議論

機 熟したと言えない

 「国益として、交渉に参加するか主体的に判断する」という首相に対し、笠井氏は、「主体的判断」と言うのなら、国益は何かという国民的議論が必要だとして、首相を追及しました。

 笠井 国会の議論もこれからで、国民の意見も聞かずに表明するなんてあっていいのか。米議会では日本の交渉参加について最低90日もかけるのに。こんな国民軽視はない。機が熟したといえるのか。

 首相 最終的には国会の承認・批准をえなければならない。

 答えに窮する野田氏に対し笠井氏は、「国民から疑問や問題点が出ているのに、きちっと議論せず踏み出していくことが民主主義としてあっていいのか」と追及。野田首相は「いろいろな懸念があることは事実。何が国益か総合的に判断し、結論を早急に出していきたい」と繰り返すだけ。笠井氏は、TPP交渉参加の是非について、予算委員会の参考人質疑と全国各地での地方公聴会を開くよう提案しました。


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