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2011年11月19日(土)

派遣法改定 民自公の合意

政権交代の原点否定

背景にTPPの強硬な推進

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 民主党が、自民・公明両党との「三党協議」を通じて、労働者派遣法改定案から、製造業派遣・登録型派遣の原則禁止条項を削除することで合意したことは、文字通り政権交代の原点を否定するものです。普天間基地問題や消費税増税などに続く国民への裏切りは許されません。


 2009年総選挙で政権交代が実現した根底には、自公政権がすすめた「構造改革」路線で貧困と格差が広がり、国民から厳しい批判を浴びたことがありました。その中心が労働法制の規制緩和でした。1999年に労働者派遣が原則自由化され、2003年のさらなる同法改悪で製造業派遣が認められるなか、非正規雇用が拡大。とりわけ08年秋のリーマン・ショックの後、大規模な派遣切りが大きな社会問題となり「年越し派遣村」が取り組まれました。

“抜け穴”

 民主党は派遣労働の自由化に賛成してきましたが、国民的批判が広がる中で態度を転換。菅直人民主党代表代行(当時)が派遣村を訪れ、派遣法の見直しに言及したり、小沢一郎代表が「政権を取ったらもう一度見直す」(09年1月)と述べるなど、政権戦略の中心にすえました。09年総選挙マニフェストには「常用雇用を拡大し、製造現場への派遣を原則禁止します」と明記して政権交代を実現しました。

 その後、民主党政権が提出した改定案には原則禁止といっても、製造業派遣では短期契約を繰り返す「常用型」派遣を「例外」としたり、登録型派遣では「専門26業種」を例外にするなど、大きな抜け穴がありました。

 その“抜け穴”をふさぐことが課題だったのに、今度は全く逆向きに、製造業派遣・登録型派遣を原則容認に変えるものです。文字通り「構造改革」路線への完全な逆戻りを示すものです。

 派遣労働の規制の放棄は、環太平洋連携協定(TPP)の強硬な推進と共通の背景を持っています。米国の市場開放要求です。

労働移動

 06年の「日米投資イニシアチブ報告書」(日米両政府共同作成)は、「米国側関心事項」の「労働法制」の項目で、「米国政府は、労働移動を促すことが組織の価値の極大化を図る上で重要であると指摘した」として4点を挙げています。(1)従業員の確定拠出年金制度の活用の拡大、(2)解雇紛争の金銭解決、(3)労働時間規制を緩和するホワイトカラーエグゼンプションの導入、(4)派遣法の規制緩和です。とくに、「労働者派遣法による規制については、限られた時間の仕事や職場(選択)の自由を希望するものを含む労働者により多くの機会を提供する必要があるとの観点から、これを緩和すべきであると指摘した」と強調しています。

 TPPでは労働市場の開放が重要なテーマになっています。米国は日本の金融、保険、医療などへの米国資本の参入を求めています。そのもとで、日本の労働者を安価に使いたいという米国資本の要求と、これに全面的に追従する野田政権という構図が浮き上がります。 (中祖寅一)


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