2011年11月21日(月)
違い明らか 医療政党討論会
同じ路線の民主と自民 拡充示す小池氏に拍手
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「民主党新政権で医療はどうなるか?」―。約6000人の外科医が集まった日本臨床外科学会総会で催された政党討論会(19日)。日本共産党からは小池晃政策委員長が参加し、医療政策や財源をめぐって、同じ土俵に乗る民主・自民の「二大政党」と、日本共産党の政策対決が鮮明になりました。
冒頭から、さっそく「二大政党」の違いのなさがあらわになりました。民主党の足立信也参院議員が「医療の給付に対して(国民の)負担が少ない」と述べ、消費税増税を主眼とする「社会保障と税の一体改革」を正当化すると、自民党の古川俊治参院議員が「(民主党政権の一体改革は)自公政権が社会保障国民会議で打ち出した方針のベースの上でやっている」ものだと胸を張ったのです。
小池氏は、「一体改革」案には外来患者への定額負担導入や70〜74歳の患者負担2倍化などの負担増まで含まれていると告発。「民主党政権は国民の期待を完全に裏切り、医療崩壊をもたらした小泉『構造改革』が復活しつつある。こういう路線はきっぱり転換して、内需主導の経済改革を進める原動力として医療や介護に財政投入すべきです」と主張しました。
社会保障の財源
足立氏は消費税増税を当然視。古川氏は2020年に消費税を16%に上げる必要があり、10%への増税は「序の口の議論」だと言い放ちました。
小池氏は、相次ぐ減税などで法人税収が3分の1に激減した結果、税収が世界最低水準の国になっている日本の現状の見直しこそが必要だと力説しました。「261兆円もの大企業の内部留保には手をつけず、財源といえば消費税増税というやり方には賛同できません」
診療報酬の改定
小池氏は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均水準まで総医療費を引き上げるという民主党の公約を実現するには6兆円の拡充が必要なのに、昨年の診療報酬増額は「微々たるもの」だったと批判し、来年の大幅増額を主張しました。
「野田首相は昨年の改定前に3%引き下げを主張した人。現場は心配している。来年どうするのか、はっきりいってほしい」。小池氏が与党側に水を向けると、会場は拍手で賛同。足立氏は「マイナスはない」としか答えませんでした。
TPPの危険性
環太平洋連携協定(TPP)について小池氏は、「非関税障壁撤廃」の名で混合診療の全面解禁や株式会社の病院経営解禁をアメリカに迫られ、国民皆保険が壊れていく危険性を強調し、「TPPでは国益を守れない」と述べました。
足立氏は「世界に誇る(日本の医療)制度をわざわざ壊す議論があるとは思わない」と弁明します。しかし岩本裕NHK解説委員に「日本の関税はすでに低い。アメリカが狙うのは『非関税障壁』、システムを変えること。大きいのは医療だ」と切り返されました。