2011年11月29日(火)
洪水被害 27倍水増し
八ツ場ダム報告書の想定額
塩川氏主意書 答弁書で判明
八ツ場(やんば)ダム建設で得られる便益を国土交通省関東地方整備局が過大に想定しているとした日本共産党の塩川鉄也衆院議員の質問主意書にたいする答弁書が25日、内閣から送付されました。
過大な想定を指摘されているのは、同整備局が10月に作成した同ダムの「検討報告書」です。報告書は、同ダムがある場合となかった場合の便益を比較し、建設継続が「妥当」と結論づけています。
質問主意書が同ダムがなかった場合の洪水被害の想定額を質問したところ、答弁書は毎年約4820億円と回答しています。
一方で、答弁書は1961年からの49年に利根川水系で起きた洪水被害額は、約8642億円(年平均176億円)と回答。実際に起きた被害を27倍も水増しした被害想定であることがわかりました。
また報告書は、利根川や江戸川の本川が破堤した想定となっています。しかし答弁書は「最近60年間、本川において破堤した箇所はない」と認めており、ここでも実態とかけ離れていました。
質問主意書では、利根川の治水安全度も質問。これに答弁書は30年から40年に1度の大雨に対応できると答えています。ところが報告書の想定では、5年に1回規模の大雨でも洪水被害が起きることになっていました。
答弁書を受けて、塩川議員は「過大な洪水被害額や架空の破堤を前提にした八ツ場ダム建設事業の問題点が浮き彫りになった。国は建設を中止し、建設予定地域の再建に全力をあげるべきだ」とのべています。