2011年12月2日(金)
主張
政治資金収支報告
政党のあり方が映し出される
政党がその活動資金をどこから集め、どう使っているのか―政治資金の収支報告は、政党のあり方を映し出す鏡であるといわれています。政治資金規正法第1条に、「政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため」届け出を求め、公表するとあるのもそのためです。
2010年の報告書(総務相所管分)が公開されました。政治資金の入りでも出でも、政党らしい政党がどの党かは明らかです。
国民と草の根で結びつき
政党が、目的や主張を共有する人々が参加し、行動をともにする組織である以上、その活動資金を党員が負担する党費や、機関紙発行、出版などの事業活動、支持者の募金などで賄うのは当然でしょう。政党に参加するのは個人であり、企業や団体はどんなに大きくても有権者ではありませんから、本来、政党に参加することも、活動資金を提供することもできません。大企業が巨額の献金をおこない、金の力で政治を左右すれば、主権者である国民の政治参加を妨げることになるからです。
公開された政治資金収支報告書で見ると、活動資金を党費と機関紙誌などの事業活動、個人からの寄付で賄っているのは日本共産党だけです。政党支持に関わりなく国民に負担させる税金を分け取りする政党交付金は、国民の思想・信条の自由を侵害する憲法違反の制度です。日本共産党だけは1円も受け取っていません。
民主党は収入の82・7%、自民党は67・4%を政党交付金に頼る、まさに“税金漬け”の状態です。政党交付金は、政党と国民の結びつきを弱め、政党そのものを劣化させる点でも重大です。民主党も自民党も、政治資金団体を通じるなどで企業・団体献金を受け取っており、文字通り政党交付金と企業・団体献金の「二つの財布」を持つ状態を続けています。どの党が政党らしい政党か、政治資金の入りだけ見ても明白です。
政治資金の出でも、日本共産党の「政党らしさ」は際立っています。日本共産党の支出のうち61・2%は機関紙誌の発行のための事業費です。民主党や自民党は「組織活動費」や「寄付交付金」などが大きな比重を占めていますが、党の執行部や国会議員に配られた金が実際には何に使われたかわからないという例も少なくありません。日本共産党が「しんぶん赤旗」の発行とその普及を中心に、国民と草の根で結びつき、活動している姿が示されています。
金権腐敗の根を断つ
今回の報告によって政治資金の不透明な流れがあらたに浮き彫りになったことも見過ごせません。
民主党の小沢一郎元代表や野田佳彦首相が、政党支部を経由して、企業・団体献金を手に入れていることが明らかになりました。企業献金は受け取らないという民主党の公約に反するものです。献金を廃止した電力会社が役員名で献金を続けているなど「原子力ムラ」からの巨額献金も続いています。
公判中の小沢元代表の政治資金規正法違反(虚偽記載)事件など、「政治とカネ」をめぐる問題はあとを絶ちません。政治資金の公開性をいっそう高めるとともに、金権・腐敗政治の温床となる企業・団体献金も、憲法に違反する政党交付金も、全面禁止・廃止することが不可欠です。