2011年12月9日(金)
汚染水海洋放出盛らず
福島第1・中長期計画 漁業者の抗議で
東京電力は8日夜、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の中長期施設運営計画を、経済産業省原子力安全・保安院に提出しました。漁業団体から抗議を受けていた汚染水の海洋放出は計画に盛り込みませんでした。
汚染水放出については、事前に説明を受けた全国漁業協同組合連合会の服部郁弘会長らが同日、東電と経済産業省に抗議していました。
服部会長は、東電に対し「4月4日の汚染水放出は、国際社会の痛烈な批判を浴び、国内でも水産物の安全に対する不安をかき立て、漁業者を苦しめている。二度と流させないという申し入れを無視した計画書の提出は決して許されない」と強調。(1)増水の原因とされている地下水の流入に対する抜本的な対策(2)汚染水処理施設の能力向上と安定的稼働の確保(3)汚染水保管施設のさらなる設置―を求めていました。
福島第1原発では、1〜4号機のタービン建屋地下などにたまっている高濃度放射能汚染水を処理したうえで原子炉に注水する循環注水冷却が行われています。
東電によると、注水に使う量よりも多くの処理水がつくられ、処理の過程で塩分の濃い水が多量に出ています。これらの水はタンクに貯蔵されていますが、容量は約14万トンで来年3月には満杯になる見通しだといいます。海へ放出しようと、当初計画していたのはこれらの水です。
東電は、海へ放出する際には全ての放射性物質について、国の定める濃度以下にすると説明していました。しかし、放射性ストロンチウムの場合、現在の濃度の数百万分の1に減らす必要があり、その方法については決まっておらず、無責任ぶりが問題になっていました。