2011年12月22日(木)
近畿、原爆症認定訴訟 勝訴
大阪地裁、内部被ばくも考慮
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原爆症認定申請の却下は不当と、国に取り消しを求めた原爆症認定集団訴訟(近畿第3次、7人)の判決が21日、大阪地裁(山田明裁判長)であり、認定されていない原告5人のうち4人の却下処分を取り消し、原爆症と認定されました。
判決は、放射線起因性の判断を医学的、病理学的な分析だけではなく、既往歴など総合的に考慮するとし、被ばく線量はあくまでも一応の目安として、内部被ばくの可能性を考慮することにも言及。各原告の多発性骨髄腫、右眼動脈閉塞症、肺がん、慢性肝炎は放射線起因性と要医療性が認められ、却下処分は違法としました。
裁判は、日本被団協と当時の麻生太郎首相との間で2009年8月6日に交わした集団訴訟全面解決に向けての合意書にかかわる最後の集団訴訟。原告の1人は良性でただちに医療の必要はないと請求を棄却しましたが、この原告を含め5人全員が「8・6合意」に基づき、勝訴に準じた金銭給付を受けることになります。国家賠償は棄却されました。
故小林勇さんの訴訟承継人・小林あや子さん、藤井澄子さん(74)、高松幸子さん(69)、黒田慶子さん(81)らは「ご支援を心から感謝しています」とかみしめるように語ると、約90人の報告集会支援者が惜しみない拍手を送りました。
近畿訴訟弁護団の尾藤廣喜弁護士は「判決文が内部被ばくの被害の重要性を外部被ばくとわざわざ比較して書いているのは初めて」と強調しました。
日本被団協の田中熙巳事務局長は「国・厚労省は『8・6合意』とその後の裁判結果を真摯(しんし)に受け止めていません。認定制度を根本的に変えたい」と話しました。