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2011年12月24日(土)

COP17と温暖化対策

日本の孤立と逆行露呈

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 12月上旬まで南アフリカ共和国ダーバンで開かれた国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)では、地球温暖化対策に関する新たな合意が成立するもと、日本政府の孤立と逆行ぶりが鮮明になりました。「温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減する」との民主党政権が国際公約した目標を撤回する動きが強まっているのも、政府の逆行ぶりをさらに浮き彫りにするものです。

 温暖化危機の進行を前にCOP17では、会期を2日延長して合意形成の努力が貫かれました。その結果、▽97年採択の京都議定書に関し、来年末に終わる第1約束期間(08〜12年)を受けた第2約束期間を13年に開始する▽同議定書で削減義務を負わない米中両国を含む全加盟国が対象の、温暖化防止の新たな国際協定を15年までに採択し、20年以降に実施する―ことを決めました。

画期的な前進

 地球環境戦略研究機関(IGES)気候変動グループ・ディレクターの明日香壽川・東北大教授は21日に横浜市で開かれたセミナーで、COP17では「米中を含む交渉は画期的に進んだ」と指摘。20年以降の新たな協定については、「各国が約束した自主的活動を見直す」という昨年のCOP16での合意を超え、「何らかの法的拘束力をもった枠組み」を採択・発効させると決まった点が重要だと述べました。

 同セミナーでは京都議定書第2約束期間設定についても、突発的な出来事ではなく、これまでのCOP合意に基づいた自然な決定であることが明らかにされました。

 ところがCOP17について日本では、国内の一部でしか通用しない一面的でゆがんだ見方が流布されています。

 昨年のCOP16では、京都議定書第2約束期間設定が決まらなかったことについて一部の人々は、それに反対する「日本外交の勝利」であるかのような評価や報道をしました。この見方に立てば、COP17で議定書継続が決まったことは「日本外交の敗北」であるはずです。

 しかし、これらの人々は、それには口を閉ざし、「京都議定書体制はすでに空洞化しており、第2約束期間ができてもほぼ有名無実化している」などと主張しています。

国際協定に背

 では、深刻化する温暖化にどう対処するのか。これらの人々は「国連外交以外の場も活用すべきだ」として、2国間クレジット(2国間の排出量取引)などを使えといいます。法的拘束力ある国際協定にあくまで背を向けるのが本音です。

 COP17での日本の国際的孤立は、最終合意をまとめた交渉の場に細野豪志環境相がおらず、すでに帰国の途に就いていた一事で明らかです。日本は最も重要な協議から逃げ出していたのです。

 「日本孤立」との見方に根拠がないとするある論者は、「国際交渉では各国は異なる主張をもって行い、もともと孤立している」との苦し紛れの“解説”をし、日本の孤立を認めています。

 日本環境学会(和田武会長)は22日、COP17について提言を発表し、政府が京都議定書延長に反対して第2約束期間不参加を表明したことを「国際的な対策強化にまったく貢献できず、日本の国際的信頼を低下させた」と批判。第2約束期間への参加、25%削減の法定目標化などを政府に求めました。 (坂口明)


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