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2012年1月5日(木)

党創立90周年―歴史に学び、新しい歴史をつくろう

2012年党旗びらき 志位委員長のあいさつ

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 日本共産党の志位和夫委員長が4日、党本部で開いた「2012年党旗びらき」でおこなったあいさつは次の通りです。


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(写真)あいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

 みなさん、2012年、明けましておめでとうございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、新春にあたって心からのあいさつを送ります。とりわけ、東日本大震災・原発事故の被災地で、救援・復興のために奮闘されているみなさんに熱い連帯の気持ちをのべるとともに、「安心して住み続けられる故郷」をとりもどすまで、ともに力をつくして頑張り抜く決意を表明するものです。(拍手)

 今年は、1922年に日本共産党が創立されてから90周年の年です。この記念すべき年の年頭にあたって、今年を党創立90周年にふさわしい躍進の年にする、来るべき総選挙で必ず躍進をかちとる決意を、まずご一緒に固めあおうではありませんか。(拍手)

 それを現実のものとするために、私は、三つの点を訴えたいと思います。

党史に学び、党史を生かし、新しい歴史をつくろう

 第一は、党史に学び、党史を生かし、新しい歴史をつくろう、ということであります。

 90年の党史を振り返ってみますと、わが党の歴史は、試練の連続であったことを痛感します。その歴史には、時に誤りもありますが、平和、民主主義、国民生活を守り抜くという根本問題において、日本共産党は、歴史のあらゆる試練に立派に合格したということを、誇りをもって言うことができます。そして、そのたたかいをつうじて、今に生きる三つの「宝」を私たちはもっているということを、強調したいのであります。

戦前の不屈の歴史――被災地で発揮されている立党の精神

 一つ目の「宝」は、戦前の天皇絶対の暗黒政治と侵略戦争に命がけで反対し、国民主権と反戦平和の旗を掲げ続けた不屈の歴史であります。

 他のすべての政党が、太平洋戦争の前夜に党を解散し、大政翼賛会に合流して、侵略戦争推進に身を落とすもとで、この歴史の試練に合格した政党は日本共産党だけでありました。苛烈な弾圧によって、わが党の多くの先人たちが命を落としましたが、その比類のない先駆性は、歴史によって証明されました。

 この「宝」は、「国民の苦難軽減のために献身する」という日本共産党の立党の精神と一体のものです。それは、大震災という国民的危機にさいしても発揮され、多くの被災者の信頼を広げました。岩手県、宮城県、福島県でおこなわれた県議会議員選挙で、わが党は、合計で6議席から11議席への躍進をかちとりました。ある無所属の地方議員は、「行政の手がとどかないところまで、共産党は徹底的に支援をおこなった。(誰も)ここまではできない」と語りました。ある自民党幹部からは、「こういう(国難の)とき、共産党の人たちは、本当に無私になってよく動く。そういう存在感というのは、日本の政党の中では共産党しかもっていない」との声が寄せられました。自民党の幹部も驚くわが党の「存在感」は、戦前からの一貫した党史の積み重ねのうえにつくられたものだということを、確信をもって言いたいと思うのであります。

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(写真)志位和夫委員長のあいさつを聞く党旗びらき参加者=4日、党本部

自主独立の路線――この「宝」の値打ちは世界のどこでも通じる

 二つ目の「宝」は、「50年問題」という党史上最大の危機を克服する過程で、自主独立の路線――自らの国の革命運動は自らの頭で決める、どんな大国でも干渉や覇権は許さない――という路線を確立したことであります。

 日本共産党は、1960年代に、旧ソ連と中国・毛沢東派という二つの大国による無法な干渉に直面しましたが、この歴史の試練に正面から立ち向かい、双方に誤りを認めさせる決着をえました。旧ソ連によるチェコスロバキア、アフガニスタン侵略など、「社会主義」を看板にした覇権主義とたたかいぬきましたが、このたたかいの正当性も、ソ連の崩壊という形で歴史が証明しました。世界の共産党のなかで、このように不屈・頑強に自主独立の立場をつらぬき、そのなかで自らを鍛え、政治的・理論的な発展を築いていった党は、他に存在しません。

 それは、今に生きる大きな「宝」となっています。昨年、わが党は多面的な野党外交にとりくみましたが、なかでも韓国との交流の発展は特筆すべきものとなりました。私は、昨年11月、日韓議員連盟の一員として訪韓する機会がありましたが、そこではわが党国会議員団の全員が日韓議員連盟に加入したことにたいして、韓国側から強い歓迎の言葉がのべられました。また、朝鮮王朝儀軌返還に果たした日本共産党の役割について、多くの人々から感謝が寄せられました。笠井亮議員は、日本の政党・政治家の中でただ一人、韓国政府が12月におこなった儀軌返還式典に招待され、熱烈な歓迎を受けました。

 韓国との関係がここまで発展した背景には、過去の植民地支配に反対し朝鮮独立運動に連帯した歴史とともに、旧ソ連などの覇権主義と不屈にたたかいぬいてきた歴史への信頼があります。「日本共産党は、旧ソ連の党とも、北朝鮮の党ともまったく違う、平和的で民主的な共産党です」と自己紹介しますと、どこでも笑顔が広がり、垣根がなくなり、心を開いた交流が始まります。

 先人たちが開拓と苦闘のなかで築いてきた自主独立という「宝」は、世界のどこでも通じる。これが野党外交にとりくんできた私たちの実感であるということを、報告しておきたいと思います。

新しい綱領――世界と未来への視野を広げ、日常の活動の身近な指針に

 三つ目の「宝」は、2004年の第23回党大会で決定した新しい綱領です。新綱領は、1961年の綱領がさだめた民主主義革命の路線を、より現実的・合理的なものに発展させるとともに、世界論、未来社会論などで、61年綱領が抱えていた制約や問題点を大胆に清算して、世界をとらえ、未来を展望する新たな視野を開きました。それは、61年綱領確定いらいの、全党のたたかい、政治的・理論的探求を集大成したものであります。

 新綱領から8年間。綱領が、私たちの日常の活動にとって、格段に身近なものとなっていることは、たいへんに重要だと思います。「集い」――「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」が日常の活動として定着し、大きな力を発揮しています。新綱領は、党員がつねにそれを学び、つねにそこにたちかえって日常の指針とし、それを手に国民と語り合う、身近なものとなり、全党の文字通り血となり肉となりつつあります。

 90年のたたかいを通じて、私たちは三つの「宝」を得た。よく「なぜ名前を変えないのか」ということが言われますが、「なぜ変える必要がないか」こそが大切であります。日本共産党という名前は、あらゆる歴史の試練に、国民の立場に立って正面から立ち向かったたたかいと結びついた名前であり、幾多の歴史の試練に合格した証しであるということを強調したいと思うのであります。(拍手)

 党常任幹部会は、創立90周年を記念する事業のひとつとして、宮本顕治、上田耕一郎両氏の著作集を刊行することにいたしました。この著作集が、多くの人々の手もとに届き、読まれることを心から願うものであります。

 みなさん。党創立90周年の記念すべき年を、党史を学び、三つの「宝」を生かし、新しい歴史をつくる年にしようではありませんか。(拍手)

「歴史的岐路」という情勢の特徴を深くとらえ、新たな躍進を

 私が、第二に訴えたいのは、「歴史的岐路」という情勢の特徴を深くとらえ、今年を新たな躍進の年にしようということです。

反共作戦は「反国民作戦」――繰り返すたびに自らの基盤を掘り崩す

 さきの4中総決定では、2009年夏の「政権交代」から2年余の政治過程を分析して、いま、日本の政治が「歴史的岐路」に立っていることを明らかにしました。

 新春インタビューでは、さらに、1961年に綱領路線を確定して以降の半世紀を、「政治対決の弁証法」という角度でみても、いま、私たちは、文字通りの「歴史的岐路」に立っているということを話しました。

 綱領路線の半世紀は、決して坦々(たんたん)としたものではありません。それは、曲折と波乱と試練がつづいた半世紀であります。正確な路線のもとでのわが党の奮闘は、支配勢力の反共作戦を呼び起こし、それとたたかうなかで次の躍進を準備する。その連続でありました。この半世紀で、日本共産党は、二つの躍進のピークとともに、2度の反共作戦を経験しています。

 「第1の躍進」は、1960年代の終わりから70年代にかけての国政選挙での連続躍進でした。支配勢力は、日本共産党の躍進を、反共キャンペーンにつづく、1980年の「社公合意」という政界の反共・右翼的再編――日本共産党をのぞく「オール与党」体制づくりによって封じ込め、わが党は、数回の国政選挙で後退・停滞を余儀なくされました。

 「第2の躍進」は、この「オール与党」体制が崩壊した1990年代後半に起こりました。1996年の衆議院選挙、98年の参議院選挙で、日本共産党は史上最高の峰を更新しました。支配勢力は、わが党の躍進にたいして、今度は、「二大政党づくり」という「最強・最悪」の反共作戦をもってこたえました。そのために財界が直接に仲介して、「民主党」という「受け皿」政党まで用意しました。わが党は、またも国政選挙で後退・停滞を余儀なくされました。

 こうしてこの半世紀には、二つの「波」があるわけですが、ここで重要なことは、党躍進と反共作戦とは、単なる繰り返しではないということです。

 最初の「オール与党」体制、それに続く「二大政党づくり」と、支配勢力による反共作戦のたびごとに被害を受けたのは、日本共産党だけではありません。国民の暮らし、政治、経済、社会の全体が、大被害を被りました。

 反共作戦は「反国民作戦」でもあり、支配勢力は、それを繰り返すたびに、自らの基盤を掘り崩し、行き詰まりと衰退を深刻にしています。それが、半世紀にわたる「政治対決の弁証法」の一つの明確な結論だということを、私は、強調したいと思うのです。

野田内閣に正面から対決し、閉塞打破の展望をあらゆる分野で示してたたかう

 そしていま、私たちは、支配勢力による2度目の反共作戦――「二大政党づくり」の破たんという新しい情勢に直面しています。

 「政権交代」にかけた国民の期待――「自民党政治を変えてほしい」という願いは、3代にわたる民主党政権によってことごとく裏切られました。野田政権にいたって、「民主党の自民党化」は完成し、「二大政党による政権選択」という枠組みそのものが成り立たなくなりました。民主も自民もまったく同じ、どっちもダメとなれば、「どちらかを選べ」といわれても、国民は選びようがありません。実際に、全国どこでも、「二大政党」の基盤の大崩壊がはじまっています。

 年末から年始の動きをみても、野田政権は、米国・財界にいわれるまま、なりふりかまわず、やみくもな暴走を続けています。政府・与党は、消費税大増税を、衆院比例定数削減と一体にすすめる方針を決めましたが、最悪の大増税と民主主義破壊をセットですすめる暴挙は絶対に許すわけにはいきません。(「そうだ」の声、拍手)

 沖縄県民の総意を踏みにじり、米軍新基地建設にむけた環境アセス評価書を、最初は宅配便で送りつけ、それが失敗すると午前4時に沖縄防衛局長が県庁の守衛所に段ボール箱を持ち込むという、前代未聞のやり方で沖縄に押し付けたことは、県民の激しい怒りをよびおこしています。

 TPP(環太平洋連携協定)参加にむけて、米国との水面下での交渉が開始されていますが、米国議会からは、さっそくコメ、牛肉、郵政などで、身勝手な対日要求が押し付けられ、国民の怒りがさらに広がっています。

 野田政権は、いまや「自民党以上に自民党的な政権」となり、国民に何らの展望を示せないまま暴走をつづけ、難破船から逃げ出すように離党者が続出し、自己崩壊をはじめています。日本共産党は、激動の年の幕開けにあたって、野田政権と正面から対決し、日本の政治の閉塞(へいそく)を打ち破る展望をあらゆる分野で堂々とさし示して、たたかいぬく決意を表明するものであります。(拍手)

国民運動の発展に力をそそぐ――消費税大増税に反対する国民的大闘争を

 「歴史的岐路」の年に、私たちが躍進をかちとり、日本に新しい政治を起こすために何が必要か。私は、政治的には二つの重要な「要」があると思います。

 一つ目の「要」は、あらゆる要求をとらえた国民運動を発展させるために、広範な人々との共同を広げ、知恵と力をつくすことであります。

 今年は、震災復興と「原発ゼロ」のたたかいが引き続き大事になってきますが、同時に、消費税増税と社会保障の問題、沖縄の米軍新基地建設の問題、TPP問題など、日本の進路を左右する国政の熱い問題で、いよいよその是非が国民的に問われる年になります。橋下・「大阪維新の会」による独裁政治を許さず、日本の民主主義を守り抜くたたかいも、いよいよ重要な局面を迎えます。あらゆる分野で、保守の方々も含めた「一点共闘」を重層的に広げながら、新しい統一戦線を築きあげるという意気込みと展望をもって、国民運動の発展のために大きな力をそそごうではありませんか。

 とくに、消費税大増税を許さないたたかいは、いよいよ今年が正念場になります。野田首相は、「どの政権でも避けて通れない」というだけで、「なぜ大増税か、なぜ消費税か」について、まともな説明はいっさいできません。

 「避けて通れない」というが、なぜ大企業と大金持ちに年間1・7兆円もの新たな減税をばらまくのか。なぜ公約で建設中止をうたった八ツ場(やんば)ダムなど無駄な公共事業に税金をつぎ込むのか。なぜあんな大事故を起こしながら、原発推進予算を4200億円も計上するのか。なぜ1機100億円もの次期戦闘機に莫大(ばくだい)なお金を投じるのか。なぜ320億円の政党助成金にはいっさい手をつけようとしないのか。「社会保障との一体改革」といいながら、年金支給額の引き下げをはじめ、なぜあらゆる分野で社会保障の切り捨てか。何一つまともな説明はないではありませんか。

 だいたい、民主党が、2009年の総選挙で、「4年間は消費税を上げない」と言ったのは、誰も否定できない国民への約束であります。国民に事前に審判を仰ぐことなしに、民主党政権に消費税増税法案を提出する資格はない。このことをはっきり言っておきたいと思います。(拍手)

 日本共産党は、暮らしも、経済も、ひいては財政も壊す消費税大増税に反対する国民的大闘争を起こすことを、心からよびかけます。私たちは、浪費の削減と応能負担の原則にたって、社会保障のための財源を段階的につくりだしながら、消費税に頼らずに社会保障拡充を段階的にすすめる抜本的対案を示して奮闘する決意であります。

21世紀の日本改革のビジョンを語り、希望を語ろう

 いま一つの「要」は、綱領にそくして、「日本共産党はどういう日本をつくるのか」という「日本改革の方針」を力強く示し、国民のなかで日本の将来を大いに語り合うことであります。

 いまの「二大政党」の壊れ方の特徴は、個々の問題で打開の方策を示せないということだけではありません。「いったいどんな日本をつくるのか、ビジョンがさっぱりない」。ここに国民から寄せられている批判の中心があり、国民のなかに広がる閉塞感、政治不信の根源があります。それだけに、私たちこそが、綱領を手に、21世紀の新しい日本のビジョンを語り、希望を語ろうではありませんか。

 いま国民が直面しているどんな問題でも、異常な対米従属、大企業・財界の横暴な支配という「二つの異常」にメスを入れる改革に踏み出してこそ、現在の閉塞状況を打開することができる。そして、この古い枠組みから抜け出す、根本からの改革をすすめたら、日本にどういう新しい展望が開けるか。これを大いに語ろうではありませんか。

 たとえば日米安保条約をなくしたら、どういう未来が開けるか。空母打撃群も含めて5万5千人もの在日米軍が日本から撤退し、大軍縮がこの日本から起こります。そうしてこそ初めて、日本は、憲法9条をもつ国として、東アジア地域の軍縮の先頭に立ち、平和と安定に貢献することができるでしょう。米軍への「思いやり予算」だけでなく、年間7000億円もの米軍維持経費から解放され、国民の福祉と暮らしにあてることができます。そして、支配・従属に終止符を打ち、対等・平等となってこそ、アメリカとの真の友好関係を築くことができます。

 大企業の横暴を抑え「ルールある経済社会」を築くことは、日本をどう変えるか。人間らしい雇用が保障され、中小企業、農林水産業再生への道が開かれ、貧困と格差の打開にむけた画期的な展望が開かれるでしょう。日本経済を、長期にわたる停滞と衰退から脱出させ、家計・内需主導の健全な発展の軌道にのせることが初めて可能となるでしょう。

 1990年代後半の日本共産党の躍進の重要な教訓は、そのときに熱い焦点となった住専問題や消費税増税問題などで党の値打ちを際立たせただけではありません。「日本共産党はどういう日本をつくるのか」――「日本改革の方針」を正面から語り抜いたことが、躍進の大きな原動力となったことは、重要な教訓であります。

 あの時代と比べても、支配勢力の行き詰まりは極限に達し、いまや21世紀の展望どころか、明日の見通しさえ定かでなく、一寸先は闇という状態になっている。そのなかで私たちが、新しい綱領という「宝」を力に、「日本改革の方針」を縦横に語る、さらに未来社会の展望、日本共産党の全体像を語ることは、いよいよ重要となっています。

 みなさん。党創立90周年の今年、日本共産党こそ、真の変革の党だという真価をきわだたせ、知恵と力をあわせて躍進への道を切り開こうではありませんか。(拍手)

情勢の可能性を現実のものとする最大の保障――強く大きな党を

 私が、第三に訴えたいのは、情勢のはらむ可能性を現実のものとする最大の保障として、強く大きな党をつくるために、あらゆる力をつくそうということであります。

4中総決定――「革命政党」としての不屈の気概がわき起こりつつある

 4中総決定が、「歴史的岐路」という情勢論と一体に、来るべき総選挙を「民主連合政府の樹立にむけて新たなスタートを切る選挙」としようと位置づけ、「すべての小選挙区で候補者擁立をめざしてたたかう」という方針を提起したことは、全体としてきわめて積極的に受け止められ、具体化が始まっています。

 とりわけ、多くの同志から「革命的気概をよびおこされた」という声が寄せられていることはたいへんうれしいことです。わが党は「革命政党」です。私たちが目標とする民主連合政府とは、民主主義革命を実行する政府であり、「革命政党」としての不屈の気概が全党にわき起こりつつあることはきわめて重要だと考えます。

 また後援会員や支持者の方々から、「さすがの決断だ。願いを託せる選択肢ができる。大歓迎だ」などの声が寄せられ、新たに募金を寄せてくれるなどの動きも起こっています。心強い限りです。4中総決定を全面実践し、来るべき総選挙では国民の期待にこたえる結果を必ず出そうではありませんか。

 「党勢拡大大運動」の到達点は、この半年間で5300人の新たな党員を迎え、16・9%の支部が新しい同志を迎えました。5月以降の8カ月間、毎月、全国ほぼすべての地区委員会で新入党員を迎えていることも重要であります。私は、党とともにかけがえのない人生を歩む決断をされた新しい同志のみなさんに、新春にあたって心からの歓迎の気持ちをお伝えしたいと思います。(拍手)

 「しんぶん赤旗」の読者では、日刊紙の値上げにもかかわらず、日刊紙が「大運動」の通算で前進し、とくに12月に、一定数の減紙が出ましたが、全党のみなさんの奮闘によって、それを上回る拡大をかちとり、全国的に前進をかちとりました。私は、全党の同志のみなさんの努力と読者のみなさんのご協力に、心からの敬意と感謝を申し上げるものです。(拍手)

情勢と党の自力に大きなギャップ――この最大の弱点を思い切って打開しよう

 「大運動」をいかにして本格的前進へと飛躍させるか。そのための方針は、4中総決定につくされていますが、それを前提に、私は、三つの点を強調したいと思います。

 第一に強調したいのは、いまの情勢がもとめるものと、党の自力には大きなギャップがあるということを、全党の共通の自覚にして、「歴史的岐路」を主導的に切り開く力量をもつ党をつくろうということです。

 党史を振り返ってみますと、1960年代終わりから70年代にかけての「第1の躍進」は、たたかいと結んで党を強く大きくし、その力で国政選挙での躍進をかちとり、それを力に党勢拡大でさらに前進し、つぎの選挙でさらに大きな躍進をかちとるという「好循環」をつくりだしていったなかでの躍進でした。

 しかし、1980年代以降の繰り返される反共作戦のもとで、率直にいいまして、私たちは、強く大きな党をつくるという仕事に、全体として成功しているとはいえません。支配勢力の行き詰まりと衰退が極限に達し、日本社会を変革する客観的条件は十分に成熟しているにもかかわらず、それを担う日本共産党の主体的力が不足している。そこには大きなギャップがあります。

 この最大の弱点を思い切って打開し、党勢拡大と選挙躍進との「好循環」に何としても転じよう。こうして始めたのが「党勢拡大大運動」であります。

 4中総決定で、「『党勢拡大大運動』をつうじて、『5万人の党員、5万人の日刊紙読者、17万人の日曜版読者を、全党が力をあわせて増やし、党勢拡大の高揚をつくりだし、総選挙勝利の土台となる自力をつけよう』――これを合言葉に奮闘しよう」とよびかけ、目標の明確化と発展を提起したのも、この見地からのものです。

 みなさん。来るべき総選挙では、かつての「第1の躍進」の時期がそうだったように、党の自力をつけながら、着実な前進・躍進をかちとり、それを力に党勢拡大でさらに前進する、持続的な前進・躍進の時代を、力をあわせて切り開こうではありませんか。(拍手)

「支部が主役」で、たゆみなく「車の両輪」の活動を発展させよう

 第二に強調したいのは、「党勢拡大大運動」を飛躍させるカギは、一人ひとりの党員の日常的つながりを土台にしつつ、「支部が主役」で、要求活動と党勢拡大の「車の両輪」の活動をおこなうことにあるということです。

 たゆみなく「車の両輪」の活動を発展させる。それこそが、飛躍のカギであることは、この間の全国の経験でも証明されています。「大運動」のとりくみをつうじて、私たちは素晴らしい経験をたくさんつくりだしていますが、二つの経験を紹介したいと思います。

【千葉県松戸市の地域党支部――放射能から子どもを守るとりくみと一体に】

 一つは、千葉県松戸市の地域党支部の経験です。

 この地域は、原発事故の放射能被害で、「ホットスポット」とされた地域ですが、この災害から子どもたちを守ろうと、市内の28のすべての地域党支部が、200カ所をこえる公園、3000をこえるポイントで放射線測定にとりくみました。このとりくみには、子育て中のお母さん、お父さん、町内会の役員、幼稚園や保育園関係者、周辺住民など、のべ3000人の方々が参加しました。党支部の放射線測定のとりくみは、市を動かし、線量測定と除染のとりくみがはじまりました。

 このとりくみをつうじて、党への信頼が高まり、5人の市民が入党し、100人をこえる市民が「しんぶん赤旗」を新たに購読しています。これは2人の幼子をもつ20代の母親から党に寄せられた手紙ですが、「何度も希望をなくしそうになりましたが、力強い後押しのお陰で何度も力をいただきました。どう感謝をお伝えしていいか分からない位感謝しています」との思いをつづっています。

【教職員職場の党支部――「いい教育をしたい」という願いにこたえて】

 いま一つは、ある教職員職場の党支部の経験です。

 この党支部では、「教育研究サークル」の中心になって活動している党員が、「いい授業ができない」と悩む若い体育教師に、「体育の学力とは何だろう」と問いかけて、「体育の技術を教えるだけなら、町のスポーツスクールに行った方が教え方はうまい。われわれが体育を通じて教えることは、“できなかったこと”が“できるようになる”喜び、フェアプレーの精神、人と人との連帯の大切さ、平和や民主主義の尊さではないか」、こう語り合い、深い信頼を得ています。

 この活動をつうじて、この数年、毎年20代から30代の青年教師を党に迎え、「大運動」でもすでに5人の青年教師を党に迎えています。「いい教育をしたい」――これこそ教職員の一番の要求ですが、それに寄り添い、こたえるなかで党づくりをしている経験が、全国各地で生まれていることは、たいへん重要です。

 私たち日本共産党員の喜びとは何か。世の中の役に立ったと実感できること、人々の切実な願いにこたえることができたと実感できることにあるのではないでしょうか。そういうとりくみのなかから、国民の党にたいする信頼が生まれ、党員と支部のなかに党への誇りが培われ、党勢拡大に実をむすぶ流れがつくられていく。「車の両輪」の活動を、すべての支部に定着させるまで、たゆみなく力をつくそうではありませんか。

量とともに質を――「革命政党らしい党づくり」に特別の努力を

 第三に強調したいのは、量とともに質を――「革命政党らしい党づくり」への特別の努力をはらうことであります。

 私たちは、「米国・財界中心」の政治から、「国民が主人公」の新しい日本への根本的変革――民主主義革命をすすめるという志をもった政党であります。日本にはさまざまな政党があり、「革命」という言葉を簡単に使う政党もありますが、「米国・財界中心」という政治の根幹を変革する志を持つ政党――真の意味で「革命政党」といえる政党は、日本共産党をおいてほかにありません。

 わが党の90年の歴史は、日本に科学的社会主義の立場にたつ「革命政党」が誕生し、幾多の困難をへて発展し、日本社会に根を下ろしてきた歴史にほかなりません。

 みなさん。この記念すべき年を、綱領を学び、歴史を学び、決定で党をつくり、「党生活確立の3原則」を実践し、「革命政党」としての誇りと自覚を、党機関を先頭に、全支部、全党員のものにする努力を大いに強める年にしていこうではありませんか。(拍手)

 1年間続けてきた「綱領・古典の連続教室」が、大きな力を発揮しつつあります。ある党支部では、受講を開始したころは、「マルクス・エンゲルスは一人の人だと思っていた」という声も出る状況だったそうですが、「剰余価値」のからくりが分かって「大企業はもうかって、もうかって、それでもなぜもうけようとするのかが分かった」となり、「革命論」では、「社会の多数が目的を理解してこそ、革命に勝利できる、そのための長期の粘り強い活動が大事だ」という講義が感動的に受け止められて、「そうかやっぱり選挙で勝たんと」「そのため読者や党員をふやさな」と熱い議論となったと聞きました。

 この「連続教室」をつうじて、綱領が身近な指針となり、マルクス・エンゲルスが「友達」となり、何よりも学ぶことの喜び、楽しさが、全党に広がっていることは、党の発展にとって大きな収穫だと考えます。最後まで、「教室」を成功させるとともに、その成果を全党のものとするための努力を強めたいと思います。

来るべき総選挙を「第3の躍進」が開始されたといえる選挙に

 みなさん。綱領路線の半世紀に、私たちは、反共攻撃の波に立ち向かい、新しい情勢を切り開いてきましたが、私が最後に強調したいのは、「政治対決の弁証法」は自動的には働かないということです。「第1の躍進」があり、「第2の躍進」があり、そろそろ「第3」かと(笑い)、自動的にはそうなりません。歴史を切り開く「革命勢力」が、「結束した反革命」にたいして、より強固な結束力を発揮して、粘り強く立ち向かってこそ、逆流を踏み越えて新しい情勢を切り開くことができます。その最大の保障は、強く大きな党をつくることにあります。ここにこそ半世紀のたたかいから引き出すべき最大の教訓があるということを、私は訴えたいと思うのであります。

 日本は、文字通り「歴史的岐路」に立っています。来るべき総選挙にむけ、「党勢拡大大運動」を必ず成功させ、歴史を切り開くたしかな力をつけながら、来るべき総選挙を、「第3の躍進」が開始されたといえる選挙とするために、力を合わせて奮闘しようではありませんか。(拍手)

 以上をもって、年頭にあたってのあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)


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