2012年1月6日(金)
八ツ場ダム調査業務など
天下り法人が52%受注
民主党が公約破りで事業再開を決めた八ツ場ダム関連のコンサルタント(調査・検討)や測量業務を、少なくとも45の“天下り”法人が受注し、発注額の半分以上を占めていることが5日、日本共産党の塩川鉄也衆院議員と本紙の調べでわかりました。とくに安全性にかかわる地質や環境評価など、重要なコンサル業務は、天下り法人に集中。こうした実態から、同ダム“中止”と“天下り根絶”という二大公約への民主党の無責任さも浮き彫りになっています。
民主の無責任鮮明
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調査したのは、2008年度から11年11月までの期間に国土交通省八ツ場ダム工事事務所からコンサルタントや測量などの業務を受注した136法人。
塩川議員が入手した資料や有価証券報告書、国交省への届け出書類などによると、中央省庁や旧日本道路公団、水資源機構、群馬県庁、栃木県庁OBが再就職した実績があるのは、少なくとも45法人にのぼります。そのうち国交省からが39法人と大半を占めます。
八ツ場ダム工事事務所は、同期間に644件、総額142億円分のコンサル業務などを発注。このうちの291件(45%)、74億130万円(52%)分を天下り45法人が受注していました。
受注額が14億9100万円(26件)と最多の日本振興(本社、大阪府泉南市)の東京支店には、04年から08年の間に国交省OB3人が再就職しています。
その次に多かった7億6600万円(17件)を受注したアクアテルス(さいたま市)の東京支店には国交省OB6人が再就職していました。
天下り企業に再就職した中には、国交省の地方整備局長や土木研究所長など同省元幹部も目立ちます。退官後に所管法人に再就職を繰り返す“わたり”をする元幹部も少なくありません。
中には、顧問で入社した2週間後に常務に就き、3カ月後に社長という“スピード出世”もありました。
同ダムをめぐっては、地すべりの危険性を多くの地質学者や建設技術者が指摘しています。事業継続の一つの“カギ”ともいえる17の地質調査業務のうち12業務を天下り法人が受注していました。
地質の他にも安全性の評価にかかわる「代替地実施設計」や「ダム本体修正設計」といった業務が天下り法人に集中。同ダム事業では、天下り法人が作成した「調査報告書」が多数ありますが、事業や安全性を「妥当」としたものばかりです。
建設の妥当性問われる
塩川鉄也衆院議員の話 国交省の「身内」がダムの安全性や環境影響評価を調査していたことになり、八ツ場ダムの妥当性が問われます。「ダム利益共同体」ともいうべき政官財癒着の利権構造を解体するためには、企業献金禁止、天下り根絶こそ必要です。