2012年1月11日(水)
きょうの潮流
「実務的なことは、一切任せていたので分かりません」。民主党の元代表、小沢一郎被告が裁判で語りました▼またぞろ、「秘書が」「秘書が」? 小沢氏によれば、秘書は本当に信頼でき仕事を任せ切れる人らしい。だから、仕事に口出しも点検もせず、秘書がつくった政治資金の収支報告書も「いままでみたことはない」といいます▼すべて任せっぱなしなので「分かりません」といいながら、はっきり確信していることがあるそうです。ゼネコンからの裏金の受け取りなどは「一切ない」、と。資金管理団体の「陸山会」の土地購入をめぐる小沢氏の説明は、聞けば聞くほどよく分かりません▼購入にあてたという4億円の出どころについて、小沢氏の説明はころころ変わってきました。政治献金。銀行からの借金。現金で事務所にしまってあった個人資産。裁判では、現金だったと語りました▼しかし、手持ちの現金を用立てたのならそれですむはずなのに、さらに土地を買うためと「了解」して銀行から融資を受ける書類に署名した、といいます。よく分かりません。2年前の説明も、裁判であいまいになりました。4億円は陸山会への「貸し付け」だったといっていたのに、「貸した、借りた、という言葉も、意識もなかった」とのべるのですから▼小沢氏は、裁判でも「天下国家」を口にし、批判で自分の行動は左右されないと、大物ぶりを誇示してみせました。しかし、「天下国家」を説く前に、足元の真相をつまびらかにしてほしい。