2012年1月17日(火)
大企業内部留保 前年度比9兆円増
10年間で90兆円増加
労働者賃金は50万円減
全労連・労働総研調べ
資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保(連結ベース)が266兆円(2010年度)に達することが全労連・労働運動総合研究所(労働総研)の調べでわかりました。前年度に比べ9兆円の増加です。大企業は、「国際競争の激化」「歴史的な円高」などと危機感をあおりながら、賃金引き下げ、非正規雇用化といった労働者の犠牲で着実に利益を積み上げています。
大企業は、リーマン・ショックを口実に大規模な「派遣切り」を強行した2008年度には241兆円(07年度から21兆円増)、09年度も257兆円と確実に内部留保を積み増ししてきました。2000年度の約172兆円と比べると約90兆円も増やしています。
企業ごとにみると、断トツに多いのがトヨタ自動車です。前年度より5874億円増の13兆8630億円になりました。キヤノンは3271億円増の4兆3141億円、三菱UFJフィナンシャルグループは2009億円増の8兆6804億円です。
これに対して民間企業労働者の年間平均賃金は、2000年の461万円から2010年には412万円へと約50万円も減少しています。
日本経団連は、内部留保は生産設備や在庫などで保有されているとして、賃上げや雇用増にむけた活用に背を向けています。しかし、現金や預金などいつでも使える手元流動性資金は60兆円(上場企業)に達するなど、経団連の言い分は成り立たなくなっています。
全労連、国公労連(日本国家公務員労働組合連合会)は、巨額の内部留保を活用すれば大幅な賃上げや雇用増が可能で、冷え切った内需を活発にして経済発展の道を開くことができる、と主張しています。
この調査は、『2012年国民春闘白書』(学習の友社)で詳しく紹介しています。
内部留保 企業の収益から原材料費や人件費などの諸費用を引いた利益をもとに税金を払い、株主配当を除いたものを企業の内部に蓄積すること。財務諸表に示される利益剰余金や、資本剰余金などで構成されます。全労連、労働総研の試算では、資本剰余金、利益剰余金、引当金(流動負債と固定負債)を合計したもの。金融、保険を除く約5000社が対象。
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