2012年1月25日(水)
日本共産党国会議員団総会での
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が24日、国会議員団総会で行ったあいさつは以下の通りです。
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大震災と原発事故からの復興は引き続く最重要課題
おはようございます。通常国会の開会にあたって、ごあいさつを申し上げます。
まず冒頭に私は、東日本大震災と原発事故からの復興は、引き続く今国会の最重要課題だということを強調したいと思います。
大震災と原発事故から10カ月が経過しましたが、なお33万人もの方々が仮設住宅などで厳しい避難生活を強いられています。国会議員団として、躍進した被災3県の地方議員団としっかり力を合わせて、すべての被災者の方々が「安心して住み続けられる故郷」を取り戻すまで、引き続きあらゆる力をつくす決意を、まず最初に表明したいと思います。(拍手)
国民への裏切りと暴走――民主党政権には、もはや国政を担う資格なし
野田政権は、この最重要課題への真剣な取り組みを欠いたまま、ひたすら三つのことに熱中しています。「社会保障と税の一体改革」の名での消費税10%への大増税、日本の食料と農業・国民生活をアメリカに売り渡すTPP(環太平洋連携協定)交渉への参加、そして米軍普天間基地の「辺野古移設」―海兵隊の新基地建設の押しつけです。
私は、前の臨時国会の開会あいさつで、野田政権について、「アメリカと財界の使い走り」の内閣と言いましたが、どの問題も、まさにアメリカ・財界にいわれるまま、常軌を逸した暴走を続けているというのが、野田政権であります。
これらはすべて、2009年夏の総選挙での「政権交代」に国民が託した「自民党政治を変えてほしい」という願いを裏切るものであり、国民への公約を裏切るものであります。
あらゆる分野で国民への公約を裏切り、暮らしを壊し、平和を壊し、民主主義を壊す暴走を続ける民主党政権には、もはや国政を担う資格はない、といわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)
日本共産党は、いまや「自民党以上に自民党的政権」に身を落とした野田政権と正面から対決し、日本の政治の閉塞(へいそく)を打ち破る展望をあらゆる分野で堂々と示して、この国会をたたかい抜く決意であります。(拍手)
どの分野でも「大義」と「対案」を示し、国民運動の発展に貢献する論戦を
この歴史的国会にどう臨むか。私は四つの基本姿勢を強調したいと思います。
第一は、いまさまざまな要求をとらえた国民運動が、広大な規模でひろがっています。あらゆる分野での国民運動の発展に貢献する国会論戦に取り組もうではありませんか。
国民運動の発展に貢献する国会論戦というとき、私は二つの点が大切だと考えます。
一つは、財界に買収された大手メディアが毎日のように垂れ流している間違った政治を合理化する議論を、太い論理で打ち破って、国民の要求と運動にこそ「大義」がある、このことを明らかにしていく論戦であります。
いま一つは、どんな問題でも、政治の根本姿勢を変えれば、国民の利益に立った打開の展望、解決の道があること、「国民的対案」を示していく論戦であります。
「大義」を明らかにし、「対案」を示していく論戦に、大いに取り組もうではありませんか。
たとえば、消費税10%への大増税に反対する論戦についてです。この問題で、増税勢力がもっぱら流してくるのは、「財政がこんなに大変なもとで、社会保障を支えるためにはやむをえない」。だいたいこういう議論が繰り返し流されてきます。そういう間違った議論に対して、私たちは、今度の消費税の大増税というのは、「三つの大問題がある」と批判してきました。一つは、「『財政が大変だ』というが、無駄遣いを続けながらの大増税ではないか」。二つ目は、「『社会保障のため』というが、社会保障のどの分野も切り捨てのメニューばかりが並んでいるではないか」。三つ目に、「こんな大不況のもとで、大増税をかぶせたら、経済をどん底に突き落とし、結局は財政破たんもひどくするではないか」という批判をしてきました。これは最も太いところで、国民に大増税を押しつける間違った議論を打ち破り、消費税増税反対の要求と運動の「大義」を明らかにする大きな力になると、私は考えます。
同時に、それでは財源問題をどうするのか。私たちは、浪費の一掃、応能負担の原則に立った税制改正、家計・内需主導の健全な経済成長によって、消費税に頼らずに、社会保障充実と財政危機打開をはかる抜本的「対案」を示してたたかいます。近くこれを、まとまった形で明らかにしていくつもりです。
消費税大増税反対の「大義」を明らかにし、国民の立場に立った「対案」を掲げ、日本列島の津々浦々で消費税10%ストップのたたかいを起こす先頭に立って奮闘しようではありませんか。(「よし」の声、拍手)
党綱領にそくして、新しい日本のビジョンを語り、希望を語ろう
第二は、党綱領にそくして、「日本共産党はどういう日本をつくるのか」という、私たちの「日本改革の方針」を、新鮮に、力強く示していく取り組みに、知恵と力をつくそうではないかということであります。
いま国民が直面しているどんな問題でも、「アメリカいいなり」と「財界中心」という旧来の政治の「二つの害悪」を断ち切る立場に立ってこそ、打開の展望が見えてきます。そして、この「二つの害悪」に本格的にメスを入れる改革―綱領でいう民主主義革命をすすめたら、日本にどういう新しい展望が開けてくるのか。これを太く明らかにしていきたい。
たとえば、日米安保条約をなくしたら、どんな未来が開けてくるのか。安保条約のもとでは、普天間基地一つを動かすのにも、日米交渉と日米合意が必要です。しかし、安保条約をなくすのには、日米交渉も日米合意も必要ありません。条約第10条の権利を行使して、廃棄の「通告」をすれば、1年後には安保条約はなくなり、日本の米軍基地もきれいさっぱりなくなるわけです。米軍基地がなくなれば、空母打撃群も含めて5万5千人もの米軍が日本から撤退し、大軍縮がこの日本から起こることになります。日本は、アメリカがおこなう戦争の震源地から、憲法9条を生かした平和外交によって世界に貢献する国へと大きく生まれ変わるでしょう。
また、たとえば、大企業の民主的規制によって「ルールある経済社会」への本格的な改革をすすめれば、どういう未来が開けるか。大企業に蓄積された巨額な富が社会に還流され、経済にも社会にも活力と元気がもたらされるでしょう。人間らしい雇用が保障され、安心できる社会保障の充実が確保され、中小企業と農林水産業の本格的再生への道が開かれ、貧困と格差の打開に向けた画期的展望が開かれるでしょう。日本経済は、長期にわたる低迷と衰退から脱出し、家計・内需主導の健全な成長への道が開かれるでしょう。さらに、日本社会には、「少子化」問題など、さまざまな衰退現象が起こっていますが、それらを抜本的に克服する道も開かれてくるでしょう。こういう展望を大いに語っていきたいと思います。
いま、いわゆる「二大政党」は、未来を語る力をまったく失ってしまっています。野田政権は何を語っているか。「消費税大増税の日本」という暗たんたる未来を、やみくもに押しつけるだけです。自民党はどうか。先日の党大会で、「政権奪還」を誓い合ったそうですけれど、それでは「奪還」してどんな政治をやるのか、その中身は何も示すことはできませんでした。メディアも「奪還して何をするのか」と書きました。いま「二大政党」に向けられている国民的な批判は、どちらの党もいま日本が直面している個々のさまざまな問題に対してまともな対応ができないというだけではないのです。「いったいどんな日本をつくるのか、ビジョンがさっぱりない」。ここに「二大政党」への国民的批判の中心があるのではないでしょうか。
こうしたもとで、私たち日本共産党こそが、本当の変革の党として、党綱領にそくして、21世紀の新しい日本のビジョンを語り、希望を語ろうではありませんか。
一つひとつの国会論戦も―もちろん直面する目の前の問題を取り上げるわけですけども―その場合でも、その論戦をわが党の綱領的展望のなかに自覚的に位置づけて、取り組もうではないかということを、訴えたいのであります。
衆院比例定数削減ストップ――議会制民主主義を守る共同を呼びかける
第三に、議会制民主主義を守るたたかいは、この国会の重大な課題であります。
民主党は、消費税増税を口実に、衆議院の比例代表の定数を80削減する法案を、この国会に提出するとしています。
この問題では、選挙制度に関する各党協議会が開かれてきました。その最も重要な到達点は何かといえば、民主党以外のすべての政党―自民党も含むすべての政党が、小選挙区制は大政党有利に民意をゆがめる害悪をもつということを認めたというところにあります。これが到達点であるわけです。この到達点にてらせば、国民の民意を反映する比例代表を半減するというのは、小選挙区制の害悪を極端なものにする暴挙であり、許されないことは明瞭であります。
日本共産党は、国民の多様な民意を切り捨てる比例定数削減には断固として反対を貫きます(拍手)。民意をゆがめる小選挙区制を撤廃し、比例代表中心の選挙制度への抜本改革を要求してたたかいます。同時に、議会制民主主義を守るための共同を、私は訴えたい。政治的立場の違いを超えて、党派の垣根を超えて、比例定数削減の反対の一点で、一致するすべての政党、団体、個人が共同しようではないかということを、心から呼びかけたいと思います。(拍手)
そして、政治の特権にメスを入れるというのならば、政党助成金こそ最大・最悪、憲法違反の不当な特権ではありませんか(「そうだ」の声)。総額320億円の政党助成金にこそ、メスを入れるべきです。日本共産党は、憲法違反の政党助成金のすみやかな撤廃を求めてがんばり抜きたいと思います。(拍手)
解散の可能性をはらんでの大激動の国会――総選挙の躍進につながる論戦を
第四は、この国会で、総選挙での躍進につながる論戦を展開しようということであります。
4中総決定は、来るべき総選挙を「民主連合政府の樹立に向けて新たなスタートを切る選挙」にしようと呼びかけ、「比例を軸」に躍進を勝ち取るとともに、すべての小選挙区で候補者を擁立することをめざし、勝利をめざして奮闘することを提起しました。
4中総決定の精神に立って、この国会で、日本共産党の値打ちをきわだたせる論戦、「こういう党なら、もっとたくさんの議席を与えなければ」と国民のみなさんに思っていただけるような論戦を展開し、総選挙勝利に向けた党躍進の波をつくりだしていこうではありませんか。民主連合政府の樹立に向けて新たなスタートを切る第一歩を踏み出す成果をあげようではありませんか。
この国会は、解散の可能性をはらんでの大激動の国会となるでしょう。党として、3月下旬から4月、5月にかけて、全国の300すべての小選挙区で演説会を開催する計画です。中央からも、国会議員が先頭に立って、どんどん都道府県にうかがい、大・中・小の演説会に取り組み、総選挙勝利に向けた政治的高揚を起こす先頭に立とうではありませんか。
そして、党創立90周年にむけて「党勢拡大大運動」の目標を必ず達成し、強く大きな党をつくって、総選挙で必ず勝利をつかもうではありませんか。
この国会は、ほんとうに大事な、日本の命運を左右する国会になります。“日本共産党議員団ここにあり”という大奮闘をおこなうことを誓い合って、開会に当たってのあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)