2012年1月30日(月)
原発被害 慰謝料は、賠償は…
農家を対象に相談会
郡山
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「生業を返せ、地域を返せ!福島原発事故被害弁護団」(安田純治団長)が29日、福島県郡山市で農家を対象に集団相談会を開きました。同市と首都圏の弁護士15人が参加し、相談に応じました。
相談に訪れたのは農産物直売所「さくらベーシック」の生産者ら10人です。
孫のアトピー発症をきっかけに4年前からコメの有機栽培に取り組む男性(61)は、原発事故後、関東からの注文がなくなり、被害額は30万円だと話します。「農薬と化学肥料を使わず体に良いコメづくりに努力してきたのに、根っこから環境を汚染されてしまった。汚染された土地をすべて買い上げてもらいたい」と怒りをあらわにし、精神的苦痛に対する慰謝料を請求したいと訴えました。
久保木亮介弁護士は、「避難等対象区域外であっても、高い線量の屋外で農業に従事されているわけですから慰謝料請求できるのは当然です」と話し、被害者が団結して要求するようアドバイス。
男性は「できるだけみんなと力を合わせてやりたい」と話しました。
同市三穂田町で妻(65)と野菜を栽培する夫(64)は、1日3000円程度のわずかな売り上げが皆無になったと話します。心臓疾患を持ち、ほかに働くこともできず月に15万円の年金で暮らし、直売所が頼りなのにわずかな楽しみもとられてしまったといいます。「今後、売り上げが増えることは無理でしょう。どこに怒りをぶつけたらいいのか」と嘆きます。
夫は弁護士のアドバイスを受け、東電へ賠償請求することにしました。「被害を黙っていないで、やるだけやらなきゃ」と話しました。