2012年2月2日(木)
論戦ハイライト
国交省出向者ゾロゾロ
八ツ場ダム “お手盛り検証” 塩川議員、実態示す
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ダム推進の「河川村」にメスを入れるべきだ―。日本共産党の塩川鉄也議員は1日の衆院予算委員会で民主党が公約を投げ捨て、建設継続を認めた八ツ場ダム問題をとりあげ、「予断を持たずに検証を行ってきた」という野田内閣の弁解を根底から崩しました。
塩川氏は「八ツ場ダム建設に道理なし」として、(1)給水実績(首都圏)は減少傾向で新規水源開発は必要ない(2)八ツ場ダムの洪水調節機能は限定的で堤防強化や排水機場の整備こそ急務(3)八ツ場ダムは地すべり被害を誘発する危険性がある―と主張しました。
塩川 なぜ八ツ場ダム中止の立場を覆したのか。
前田武志国交相 4代の大臣のもとで予断を持たずに検証を行ってきた。
塩川氏は「その検証の進め方自身が問題だ」として、政府の「身内」による“お手盛り検証”の実態を示しました。
八ツ場ダム検証の実質的協議の場となってきたのは、国交省関東地方整備局と1都5県のダム担当部長による「幹事会」です。そのメンバーである群馬県の県土整備部長はどこの出身か。塩川氏が問うと、前田氏は「国土交通省からの出向者です」。
茨城県の土木部長も「国土交通省からの出向者」。茨城県の企画部長も「国土交通省からの出向者」。千葉県の県土整備部長も「国土交通省からの出向者です」―。
失笑に包まれた委員会室。「またか」「まずいな」の声が上がり、中井洽予算委員長に「何人国交省がいるのか」と指摘されるありさまでした。結局、1都5県の関係部長の中に国土交通省からの出向者が4人、総務省からの出向者が1人いたことが明らかになりました。
塩川 八ツ場ダム推進の立場の国交省の関係者ばかりが集まって、どうしてまともな検証ができるのか。
野田佳彦首相 ちょっと国交省の出向者が多いなという印象はあるが、それはそれとして予断なく検証してきた。
塩川 八ツ場ダム検証の主体が国交省であること自体が問題だ。身内の「検証」では信頼度はゼロだ。
首相を追及し、さらに塩川氏は、建設推進が決まった背景に天下り問題があると指摘。2004年度以降の8年間で国交省から104人の天下りを受け入れた46法人が、八ツ場ダム関連で約150億円もの工事や業務を受注しているという事実を示しました。
塩川氏は、地すべり被害の危険性が指摘される八ツ場ダムで、事業継続のカギとも言える17の地質調査業務のうち、12業務を天下り法人が受注していることも明らかにしました。天下り法人がまとめた「調査報告書」の結論はどれも事業や安全性を「妥当」としたものばかりだとただす塩川氏―。
塩川 八ツ場ダム推進の国交省からの天下り法人が八ツ場ダム推進のお墨付きを与える。これでまともな結論が出たといえるのか。
岡田克也副総理 今後ともしっかりと天下りの根絶に向けて取り組んでいきたい。
塩川氏は「天下りの根絶を公約に掲げた民主党も、結局自公政権の継承者となったことをはっきり示した」と述べ、まともな検証なしの八ツ場ダム推進は許されないと批判しました。
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