2012年2月2日(木)
米脅威評価 イランに核保有能力
北朝鮮新体制は当面結束
【ワシントン=小林俊哉】クラッパー米国家情報長官は1月31日、上院情報特別委員会の公聴会で世界的な脅威についての評価報告を行いました。事前に提出した書面証言では「米国は、もはや冷戦時のように、単一の大きな脅威に直面しているというわけではなく、最大の課題は、潜在的な脅威の多様性とその相互関連だ」と述べました。
この中で同長官は、イランについて、「核兵器開発を選択肢として残している」と述べ、すでに核保有に向けた「科学的、技術的、工業的能力は保持している」と指摘。同時に、「実際に開発を決断するかどうかは分からない」として、イラン政府の政治決断次第だとの見方を示しました。
同氏は「われわれの判断では、イランの核問題での意思決定は、費用対効果の検討によって導かれている。ここに、国際社会がイランに影響を与えるチャンスがある」と主張。ただ、イランが経済制裁によって打撃を受けながらも、原油価格の急落などの事態がない限り、「経済的困難が、(そのまま)現在の体制を危機に陥れるようなことはありそうもない」としました。
シリアについては、「現体制の非妥協的な姿勢と社会の分裂が、国内の闘争を長引かせせ、同国内の激変が地域危機に転化する潜在性もある」と指摘。「状況が早期に解決されることはありそうもない」としました。
一方、口頭証言では「個人的には、(シリアの)アサド体制の崩壊は時間の問題だと信じる」と踏み込み、どのような勢力が新たな体制の中核を占めるかを注視する必要性を強調しました。
北朝鮮については、新しい指導部の支配力について分析するのは時期尚早だと指摘。同時に、「おそらく指導部上層は、不安定化を防ぎ、彼らの利益を確保するために、最低でも短期的には結束を保つだろう」との見通しを示しました。