2012年2月15日(水)
JAXA
「平和目的」規定外す
政府法案提出 研究者を軍事動員へ
野田内閣は14日、日本の宇宙開発を担う独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の業務を「非軍事」に限定したJAXA法からこの規定をなくし、防衛省の軍事衛星の開発などに研究者を動員するための同法改定案を国会提出しました。内閣府に宇宙政策の司令塔機能をもたせる内閣府設置法改定案なども提出しました。
現行JAXA法は第4条で人工衛星の開発や打ち上げなどについて「平和の目的に限り」行うと定めています。改定案はこの文言を削除し、「宇宙基本法第2条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり」と置き換えました。
2008年に自民・公明・民主の各党が強行した宇宙基本法は、宇宙開発利用の柱の一つに「我が国の安全保障に資する」ことを掲げ、政府は「専守防衛の範囲内」での宇宙利用を推進すると明言。09年には、自衛隊による軍事衛星の活用を国家戦略として位置づけた宇宙基本計画を制定しました。今回の改定案はこれまで「非軍事」に限定されていたJAXAの業務範囲を拡大して、軍事衛星の開発・打ち上げ・運用の実施機関として研究者や技術者を動員するのが狙いです。
一方、内閣府設置法改定案は、所掌事務に宇宙開発利用の推進や人工衛星の運用・管理業務を加え、宇宙政策委員会を新設。宇宙開発委員会を廃止するための文部科学省設置法の改定案も提出しました。