2012年2月21日(火)
TPP 笠井議員の追及
米側にノー言えない政府
20日の衆院予算委員会で、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加への米国との事前協議をとりあげた日本共産党の笠井亮議員。米側の無法な要求にノーと言えない政府の姿勢が浮き彫りになりました。
笠井氏は、7日の事前協議でなぜ米側があえて「すべての品目を自由化交渉の対象とする用意があるか」と聞いてきたのかと質問。古川元久国家戦略相は「お互いの現状を確認するのは通常あることだ」と説明しました。
笠井氏は「念押しをしたということではないのか」と指摘。「日本から情報提供を要請して米側から明確な回答はあったのか」と聞いても、古川氏は「逐一どういう回答したかというところまで承知していない」と答えるにとどまりました。
重大さ出てくる
笠井氏は、関税以外のサービス貿易や労働・環境など21分野が交渉対象となることについても米側が「対応する用意があるのか」と質問してきたことを追及。古川氏は「まったくおかしいことではない」と釈明しました。
笠井氏は「あえて『用意があるか』と問われて確認するということ自体に一歩一歩重大な問題が出てくる」と指摘。日本が「国内的抜本改革」を表明したことにふれ、「全ての品目を自由化交渉の対象にして、規制、非関税措置を含む国内改革を進める言質だけを一方的に取られた」と強調しました。
笠井氏は、米国政府の意見募集(パブリック・コメント)に寄せられた業界や企業の要求(表)に対する日本側の姿勢をただしました。
全米商工会議所や全米サービス産業連盟は、日本の省庁が規制や法律を制定する際にアメリカの利害関係者を関与させるよう求めています。
笠井 こんな法外な要求は受け入れられないとはっきり言ったのか。
古川 米国政府の見解を踏まえた上で議論していきたい。
笠井 今のうちにくぎを刺すべきだ。要求は正当と思うのか。
古川 米側がどう考えるかだから日本がどうこう言うのは差し控えたい。
笠井氏は「こういう姿勢でやっていたら大変なことになる」と批判。さらに、米国コメ連合会やウォルマートなどが、残留農薬検査や検疫手続きの緩和などを主張していることを上げ、はっきりノーと言ったのかと追及しました。
玄葉光一郎外相は「(検疫の)権利行使を妨げることは考える必要はない」と答弁。笠井氏は「日本側は意見や質問も言ってない。言われっぱなしだ」と批判しました。
この指摘に古川氏は「米側に懸念事項を踏まえた質問リストを2月16日に出している」と釈明。しかし笠井氏がリストの公表を求めると、古川氏は「相手国との信頼関係に配慮する必要があり、そのままの形で公開することは困難である」と拒否しました。
国益を守れない
笠井 なぜ出せないのか。総理は十分な国民的議論と言っている。米国と国民の信頼関係はどっちが大事なのか。
玄葉 精査をして、提供していくように考えたい。
他党の議員から「おかしい」「公表すべきだ」との声が上がるなか、笠井氏は、「こういう協議の姿勢では国益を守れない。国民の懸念を正面からぶつけ、質問事項やアメリカが言ったことも明らかにしなければダメだ」と強調しました。
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