2012年3月4日(日)
農家への戸別所得補償制度
民自 見直し協議の動き
農地の大規模化推進で一致
民主党政権が導入した農家への戸別所得補償制度。生産費と販売価格の差額を交付するものです。民主党政権が次々とマニフェストを投げ捨てるなかで、かろうじて残っていましたが、民自公3党で見直し協議に入る動きが浮上しました。
「小規模農家が農地を出して(手放して)くれないと規模拡大は頭打ちになる。ブレーキとアクセルを両方踏んでいる。ムダ遣いだ」
自民党の赤澤亮正議員は1日の衆院予算委員会でこう述べ、民主党政権が環太平洋連携協定(TPP)参加に向け規模拡大を掲げながら、同制度によって小規模農家も支援対象としていることを批判しました。
鹿野道彦農林水産相は「小規模農家も規模拡大すれば収入が増える。誘導している」と述べ、規模拡大が基本方向だと強調しました。
同制度によって、小規模農家も支援すると約束していた民主党議員からも―。
民主党の玉木雄一郎議員は農地集約化をすすめる仕組みがあることをあげ、「集約していかないと利益がでないから規模を拡大することになる」と自民党が求める大規模化と変わらない立場であることを強調。「バラマキと言われるが、この制度はものすごく小さいところには配分しない」と言い訳しました。(1日、同委)
民主党は、大規模経営農家優先の自公政権に対する農業者の批判に押されて、マニフェスト(2009年)で「小規模経営の農家を含めて農業の継続を可能とし、農村環境を維持する」と、戸別所得補償制度を掲げました。
しかし、いまやTPPへの参加にむけて、小規模農家に農地放出を迫るなど規模拡大をしゃにむに進めようとしています。
見直し協議の背景には、結局、民主も自民も農地の大規模化を目指す方向で違いがないことがあります。
赤澤氏は3党合意で約束しながら見直しされていないとして、来年度予算に反映させることも含め見直し協議の再開を求めました。
岡田克也副総理は「3党合意は誠実に履行されなければならない」と応じ、野田佳彦首相は「意見交換しながら、(制度が)定着するようにしたい」と述べ、協議を進めていく姿勢を示しました。 (前野哲朗)