2012年3月10日(土)
米・英・仏・中・ロ・独 イラン核で声明
IAEA調査団 疑惑施設立ち入り要求
国連安保理常任理事国(米英仏中ロ)にドイツを加えた6カ国は8日、ウィーンで開催された国際原子力機関(IAEA)の定例理事会で、核兵器開発の疑いがもたれるイランに対し、疑惑施設へのIAEA調査団の立ち入りを認めるよう求める共同声明を発表しました。(野村説)
ハメネイ師 外交解決を歓迎
声明では、ウラン濃縮活動を加速させたとみられている同国の現状について「遺憾」を表明。1月と2月の調査団派遣で視察を拒否された、テヘラン郊外のパルチン軍事施設にIAEA調査団を受け入れるよう要求しています。同施設は、核兵器開発に必要な高性能爆薬の実験が行われたと指摘される場所です。
イスラエルによるイラン攻撃が懸念されるなか、6カ国はイランの核問題の外交的解決を支持する方針を確認。声明は核交渉について、「前提条件なしの参加」をイランに求めていますが、協議再開が核問題をめぐる事態打開の糸口になるかどうかは今のところ不透明です。
イランの最高指導者ハメネイ師は8日、オバマ米大統領がイラン核問題で外交的に解決することを優先させることを示した方針について、「そうした発言は好ましいものであり、妄想から脱しようとするものだ」と歓迎しました。
一方、ロイター通信などによれば、イスラエル当局者は8日、同国のネタニヤフ首相が5日に行われたオバマ大統領との会談と前後し、地下核施設を破壊するための改良型の地下貫通型爆弾バンカーバスターや空中給油機の提供を米国に求めたことを認めました。イランの核開発は、固い岩盤に覆われた地下施設で進められていると考えられており、それを破壊するための兵器の要請とみられます。
しかしホワイトハウスのカーニー報道官は8日、両首脳の会談では「そのような取り決めは提案されなかったし、合意もしていない」と語りました。